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JRA重賞『菊花賞』(GⅠ)映画評論家・秋本鉄次の“ざっくり”予想!

(C)JRA
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先週の秋華賞は見事馬連2250円の好配当を的中するも、残念ながら本線に非ず、3連複も外したおかげでまたも〝トリガミ大将〟に堕した次第。

これでスプリンターS、毎日王冠、秋華賞と3週続けて〝儲からない〟競馬になってしまった。ボウズよりはマシとはいえ、そろそろドガンと当てたいねえ。で、今週は皐月賞馬(エフフォーリア、天皇賞・秋に参戦の予定)、ダービー馬(シャフリヤール、JCに参戦の予定)も出ない菊花賞は過去にも何度かあるが、どうも格が下がって〝菊花特別〟じゃん、と毒づきたくなるほど。

で、押し出されるように1番人気必至なのはステラヴェローチェだろう。皐月賞、ダービーともに3着の実績。皐月賞2着のタイトルホルダーは出走するが、ダービーではステラが先着し、前哨戦の神戸新聞杯も快勝なら当然。本来はこういう馬の信頼度はいまひとつで、〝危険な人気馬〟扱いしたくなるものなのだが、何せボクにとって今年一番の大勝負だったダービーで3連複8800円の片棒を担いでくれた〝恩馬〟なので(あの頃はまだプラス決算だったなあ…)、無視はできない。

吉兆データは2013年(皐月、ダービー馬不在)のエピファネイアに戦績が似ているということか。この馬は皐月、ダービーはともに惜しい2着で、秋は神戸新聞杯を勝った勢いで、最後の一冠・菊を1番人気で勝っている。ステラは春2冠ともに3着という点で若干見劣りがするけれど。基本は〝荒れる〟を前提に考えるべきなのだろうが、先週の秋華賞をソダシでヘグった吉田隼騎手も雪辱を期したいだろうし。

有力馬では、セントライト記念を快勝したアサマノイタズラを典型的なトライアル・ホースと見てまず切りたい。鞍上・田辺は気になるところだが、先週のオークス馬切りが成功したことだしね。同様にセントライト13着の前記タイトルホルダーも皐月2着は今や昔の感がある。セントライト組なら3着オーソクレースを取りたい。鞍上・ルメールが今度は本番仕様で飛んでくる? と思ったが、枠順は無情にも大外枠。菊花賞は8枠が来たイメージは皆無に近く、人気馬でも凡走がほとんど。ステラに次ぐ軸にと思ったが、3連複のヒモ程度に。代わってこのレースに強いディープインパクト産駒でレッドジェネシスを取る。神戸新聞杯ではステラヴェローチェとの互角の勝負で惜敗。今度は手の合う川田に戻るのも強みだ。

“紅一点”ディヴァインラヴは心情的に買いたいが…

狙いは穴の3頭! まずは特別勝ちの馬が時々穴を出すと見てヴェローチェオロ。ステラヴェローチェとは同じ須貝厩舎の2頭出しで人気薄のほう、というのが何ともクサい。〝須貝丼〟も〝ヴェローチェ丼〟もあり得る? ちなみに馬主も同じだ。ご贔屓の幸騎手に乗り替わりも好材料。騎手で言えばこちらもご贔屓・松山が連続騎乗するグラディアスも買いたかったが、不運の8枠…。ハーツクライ産駒は、なぜか菊には縁が薄いのも懸念材料だしなあ。池添が乗り続けているヴィクティファルも考えたが、こちらも外枠でスルー。代わりに、逃げ馬不利のデータでもエアサージュを。ヤネも藤岡祐なら良いだろう。最後に、神戸新聞杯3着だが、人気の盲点になりそうなモンテディオ、新コンビ・横山和騎手とともに距離3千を味方にして欲しい。〝紅一点〟挑戦のディヴァインラヴは〝牝馬の鉄〟としては心情的に買いたいところだが、さすがに無理筋。牝馬の挑戦自体ほとんどないレースだし、馬券圏内に入ったのは半世紀以上も前と知れば、なおさらだ。鞍上・福永は本来はシャフリヤールで菊挑戦のはずだったが、〝鞍上2冠〟はさすがに厳しいのでは?

さて〝映画関連馬券〟としては、モンテディオから『モンテ・ウォルシュ』(70年)はどうか。アメリカン・ニューシネマ期の黄昏西部劇で、大好きな作品だ。西部開拓期も終わりに近い頃、親友を殺した昔の仲間を倒さねばならない時代遅れのガンマン、モンテ・ウォルシュの空しさをリー・マービンがしみじみと魅せる。彼と再会するミュージック・ホールの花形フランス女性をジャンヌ・モローが素敵に演じている。当時この作品を観たのは、池袋の名画座で、観た日が、ちょうどその映画館の〝ラストショー〟だっただけに、よけい黄昏感が増幅され、今でも記憶に残っている。

さて最終的な買い目だが、馬連は⑭から⑤⑧⑨⑩へ、⑤から⑧⑨⑩へ。3連複は⑭軸の⑤⑧⑨⑩⑱へ。⑤軸の⑧⑨⑩⑱へ。今回〝トリガミ〟無用とばかりに少々絞って、馬連7点、3連複16点でいかがでしょう。

秋本鉄次
映画評論家。〝飲む・打つ・観る〟〝映画は女優で観る〟をモットーに、娯楽映画、中でも金髪女優の評論にかけては業界随一。著書に『パツキン一筋50年 パツキンとカラダを目当てに映画を見続けた男』(キネマ旬報社)など。

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