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自民・公明に落とし穴…「原油高騰」「米価下落」直撃で過半数割れ!?

岸田内閣にとって選挙の最大の焦点は、自公で過半数の233議席確保だ。


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現状の各種世論調査では、岸田文雄首相の掲げる目標ラインは維持できる公算が高い。しかし、選挙は最後まで読めない浮動票がある。シンクタンク関係者は「落とし穴がある。それに嵌れば自公政権崩壊の可能性もある」と警告している。


まずは、政治学専門の准教授が現状を解説する。


「菅内閣の末期は新型コロナ対策迷走で、支持率が危険水域の31%(読売新聞9月4、5日)まで落ち込んだ。岸田内閣の支持率は56%(同10月4、5日)に回復したが、この数字は菅内閣発足時の74%と比較するとかなり低い。理由はいろいろある。岸田内閣は安倍晋三元首相の影響力が強く独自色が出せないという見方、あるいは甘利明幹事長がUR口利き賄賂疑惑の責任説明を果たしていない、一昨年の参院選挙を巡り河井案里陣営に自民党から1億5000万円もの資金が提供された闇など、数々の懸案事項が払しょくされてないことが響いているとされます。要は、盤石政権ではないということ」


それでも、岸田首相誕生での〝ご祝儀〟はあった。


「岸田政権発足直後、10月に行った自民党の情勢調査では衆院選の獲得議席数は250程度にアップした。菅内閣末期の8月の同調査では200議席割れも指摘され、公明党と合わせても過半数維持は厳しいという予測もあっただけに、わずか1カ月で情勢が改善したことは確かだ」(自民党幹部)


では、冒頭のシンクタンク関係者の警告だ。


「自民党が戦後、長期政権を維持できた源泉ともいえる農業関係者の票が大きく揺れ動いている。米価暴落という落とし穴ですよ」

豊作でもないのにナゼ米価は下落!?

農林水産省によると、新米の1俵は対前年比で12%安い1万3255円。

「現場はもっと安い。ひどい地域では4000~5000円も安く、1俵1万円を大きく割り込んでいるのもザラです」(農協関係者)


作柄は全国でならすと平年並み。では、豊作でもないのに、なぜ米価は下落しているのか。


「コロナの影響で外食産業や旅館、ホテルでの米需要が大幅に落ち込み、在庫が積み上がっているためだ。6月末の民間在庫は、適正180万トンを大幅に超え、219万トンにまで膨れ上がった。米農家には最終的に国や自治体などの補填策で損失はある程度防げるが、全額とはいかない。農家は機械、肥料代などで1俵1万2000円では赤字。1万円前後なら廃業に追い込まれる死活問題ですよ。こうした状況に全国の農業関係者から不満が起きている」(同)


農村票は全国で130万票あるとされる。


「安倍政権下、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)で農家無視の政策が取られた。そして、2016年の参院選は東北で軒並み自民党候補が落選した」(自民党関係者)


全国から寄せられる米価対策の不満に自民党も危機感を募らせている。岸田政権は「米集荷業者の米長期保管料に補助金を出し、市場に出回る米をコントロール、暴落を防ぐ」などの対策を打ち出しているが、某農家は不満を漏らす。


「何かあれば、その都度、傷口を塞ぐネコの目農業策を取ってきたのが自民党です。農家もコロナでボロボロだ。こんなツギハギ対策に農家はつくづく嫌気が差している。今回の米価暴落対策でも来年以降の先がまったく見えない。不満が広がれば、全国の農家票は自民党離れを起こし、想定外の結果が出るでしょう」

自民党の“大勝ち”を戒める空気

もう1つの落とし穴は、ガソリン代の高騰だ。経済産業省によると、10月11日時点のレギュラーガソリン価格の全国平均は1リットル=162.1円で6週連続の値上がり。前年の134.1円と比較すると2割も上昇している。

「原因は、コロナ収束機運が世界的に高まり経済が活発化し、原油需要が急激に伸びた。だが、OPECなど産油国は先行きが不透明として減産政策を維持している。8月末には大型ハリケーンで米国の原油生産施設が壊滅的被害を受けた。これら複合的な事情が重なり値上がりが続いている。これから日本は冬を迎え寒くなる。電気、灯油の需要が跳ね上がり原油消費も急増する。世界的な価格高騰はノンストップの勢いです」(経済アナリスト)


「原油高はあらゆる物品に影響する。今後、ガソリンや灯油の価格はまだまだ高くなる。すでに庶民の生活にも影響が出始めている。その不満が岸田政権を直撃しかねない」(前出・准教授)


岸田政権にとって、不気味な数字もある。産経新聞とFNN(フジニュースネットワーク)が10月初旬に実施した世論調査だ。比例投票先を自民党と答えたのは約39%で、前回の約45%から大きく後退。また、「与党議席増が望ましい」との回答は約22%で、「野党議席増が望ましい」の約36%を下回っているのだ。つまり、自民党大勝ちを戒める空気が、すでに有権者の間で強まっているのだ。


「米、ガソリンなど庶民生活に直結する価格を制御できなければ、自公政権も安泰ではない」(同)


落とし穴が大きくなれば、自公過半数維持は一瞬で逆転する。