
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、スポーツジムやフィットネスクラブに通う人が激減した。
屋外スポーツはコロナ禍でも健闘しているが、屋内スポーツ施設の提供業者の苦境は、いつまで続くのか。フィットネスクラブ関係者が解説する。
「近年の健康志向の高まりや、小規模施設の進出などにより、フィットネスクラブは2014年以降、上昇傾向にありましたが、1回目の緊急事態宣言が発令された2020年4月に利用者が激減。ニュースで、感染拡大スポットとして取り上げられたことも響きました」
ラグビーワールドカップ2019の成功と、当初は2020年に予定されていた東京五輪・パラリンピックに向け、大きく高まっていたスポーツ機運が、コロナの直撃で一転したのだ。
『帝国データバンク』によると、2020年度のフィットネス(スポーツジム)業界の市場規模は、2019年の7100億円から一気に5000億円まで減少。そのため事業者倒産も、過去10年で最多の26件に達している。
現状はどうなのか。スポーツジム関係者が解説する。
「ワクチン効果で第5波が鎮静化し、ようやく一息ついて客足も戻りつつある。しかし、この冬には第6波の到来も予測され、当面は厳しい経営環境が続くとみています」
しかし、その一方で明るい兆候も垣間見えるという。
「日々の健康や抵抗力増強のため、人々のスポーツへの意識が以前より高まっているというデータがあるのです」(同)
コロナ禍でも依然として高い成長ポテンシャル
例えば、スポーツ庁が毎年実施している『スポーツの実施状況等に関する世論調査』によれば、2-20年のコロナ禍でもスポーツに取り組んだというデータは、成人全体で前年より約6.3%も増加した。特に野外で簡単に行えるウオーキングが、大きく伸びている。
また、顧客満足度調査を手掛ける『オリコンME』が、昨年に約5000人を対象として実施した調査では、フィットネスクラブの利用について現利用者のほぼ全員が継続する意向を示している。そして、コロナ禍で利用を中止した元会員も、7割以上が再利用したいと回答したという。
これらを踏まえ、前出のフィットネスクラブ関係者が言う。
「我々もこうしたデータから、国内市場が持つフィットネスなどの成長ポテンシャルは、コロナ禍でも依然として高いと推測しています。業界は苦しい経営の中でも、こうしたニーズを拾い上げれば再び盛況を迎えると信じている。実際、各企業とも新たな動きを活発化させています」
では、企業の具体的な取り組みには、一体どんなものがあるだろうか。
まず変わったところでは、デパート大手の『松屋』銀座本店(東京都中央区)が、健康機器レンタルサービス会社と連携し、実店舗『ジム・クラウド』をオープンして注目されている。
紳士服売り場の一角に健康機器を置き、トレーニングを体験できるほか、アドバイスも受けられる。ランニングマシンやエアロバイクといった大型機器をはじめ、バランスボールやダンベルなど約60点を展示し、レンタル対象は約1万4000点に上るという。
サブスクなら気軽に利用できる
「高額商品のため購入に二の足を踏んでいたスポーツ機器も、サブスクリプション(定額制)なら気軽に利用できる。松屋にすれば、リモートワークの浸透で紳士服の需要が低迷する中、健康志向の顧客が足を止め、ついでに買い物にも関心を示してほしいという狙い。レンタル会社も松屋ブランドを利用し、スポーツ機器の新客層の掘り起こしを目指しています」(同)
大手フィットネスクラブ『東急スポーツオアシス』(東京都渋谷区)は、施設オンリーからの脱却を急いでいる。新たに自宅用の健康グッズを販売するホームフィットネス事業、アプリを中心にトレーニングメニューを配信するデジタルヘルス事業、自治体に健康管理を助言する健康経営コンサルティング事業に着手し、既存のフィットネスクラブ事業と合わせて4事業体制となった。
例えば、ホームフィットネス事業では、座って揺れるだけで腹回りを鍛えられる健康グッズ『コアツイスター』などを、自社の電子商取引サイトで販売している。経営コンサルタントが解説する。
「人気タレントのアンミカを起用した動画を配信するなど、かなり力が入っている商品です」
健康経営コンサルティング事業では、長野県富士見町の健康プロジェクトに参画し、住民に器具を使わず筋力アップと体質改善を図れるプログラムの提供を開始。自治体と連携して、将来的な全国展開を目指している。オアシスは2021年度の売上高で、前年比4割増の約200億円を見込むという。
スポーツジム、フィットネス業界では、コロナ禍を乗り越える新事業の種をまき始めた。今後、そこにどう果実を実らせ、花を咲かせるかが勝負となる。
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