日本では北海道で変異株が猛威を振るっている疑いがある中、菅義偉首相は先頃、東京五輪について「人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証しとして開催し、東日本大震災の被災地が復興を成し遂げた姿を世界に向けて発信する場にしたい」と表明した。
強力な変異株の危険に晒されているにもかかわらず、トップが東京五輪開催に執着しすぎると、日本は新型コロナの餌食となり、多くの国民や海外からの訪日客が犠牲になりかねない。
免疫学の研究者らはこう警鐘を鳴らしている。
「こういった変異株は、出席者の多くがマスクを付けず、社会的距離も守られていない『スーパー・スプレッダー・イベント』を介して急速に拡散する」
また、スペインを訪れた旅行者たちが「人と人の間に十分な距離を保つソーシャルディスタンスを無視するといった感染リスクの高い行動を本国に戻ってからも続けた結果、新しい変種の拡散につながった」とも指摘されている。
世界の累計感染者数は11月9日時点で5000万人を超え、その約半数はアメリカ大陸で確認されている。震源地となった中国が含まれる西太平洋地区の感染者は、全体で見ると非常に少ないが、東南アジア、とりわけ、マレーシアで変異株が多く確認されている。
部分的な封鎖は避けられない!?
北海道では第1波終了後から9月にかけて、有効なコロナ対策が取られず、欧州の流行状況を十分に把握しないまま第3波を迎えたといえる。
「北海道の第3波は今後、1日の感染者数が200人以上の規模となっていきそうです。このウイルスを欧州変異株と想定して、対策が取られていないことがとても残念です。そもそも、新型コロナに関するメディアからの情報量が少ない。国民の関心をコロナウイルスから遠ざけ、GoToキャンペーンで経済を活発化することを優先する政府の方針に沿っている」(外岡氏)
これから日本は寒さが本格化する冬場を迎える。ひと足早く寒さが到来した北海道の例を見れば、新型コロナウイルスは間違いなく活性化しそうだ。
「日本では考えられないかもしれないが、ヨーロッパのような都市封鎖とまではいかなくとも、部分的な封鎖という局面が必要になってくるかもしれませんね。それを実施するには3密+マスクの提唱ばかりではなく、スペインで発生した変異株がヨーロッパを席巻し、世界が大変なことになっていることを認めないといけません」(外岡氏)
欧州でロックダウンされたことは知っていても、なぜ、そのような事態に陥ったのか理解していない読者諸氏は意外と多いのではないか。原因であるウイルス=スペインの変異株に対する十分な警戒が必要だ。
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