岸田文雄氏 (C)週刊実話Web 
岸田文雄氏 (C)週刊実話Web 

岸田政権に忍び寄る“下野の悪夢”…小沢一郎全国行脚と年金不祥事

発足間もない岸田政権に早くも暗雲が立ち込め始めた。10月31日投開票の総選挙では「下野」も視野に入る赤信号が点滅しつつある。


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背景を政治アナリストが解説する。


「岸田政権は新内閣発足のご祝儀支持率と野党の準備不足につけ込み、電撃解散、総選挙を仕掛けたが、次々と起こる思わぬ読み違えに頭を抱えている。その1つが株安だ。日経平均株価は菅義偉首相の退陣報道をきっかけに急上昇した。9月14日に3万670円とバブル以来、実に31年ぶりの高値を記録。理由はコロナ対策が迷走を続け、外食、旅行関連を中心に経済がガタガタになった反発でしょう」


元凶と見られた菅首相が自民党総裁選への立候補断念で次の新内閣への期待が市場で高まったわけだ。ところが、その期待を背負って誕生した岸田政権下で株価は下落し続け、下げ幅は2600円を超えた。


「株価下落が続き金融界では『岸田ショック』の言葉が飛び交っているほど。下落の主要因は、岸田文雄首相が掲げた『金融所得課税』の見直し。これは株式譲渡益や配当金など金融所得に増税し、金持ちからより税金を取り、中間層や低所得者に再配分する案です。金融所得の増税化は投資意欲を削ぐので海外投資家が逃げ出した。要は岸田政権の経済政策に投資家がノーを突き付けた格好」(ベテラン証券マン)


米国政府の借金凍結問題でのデフォルト危機も勃発、また中国では不動産大手の恒大グループが約33兆円の債務を抱え破綻危機…。こうした世界経済の影響も重なり、下落となったのだ。

さまざまな疑惑を抱えた“灰色大臣”たち…

「岸田政権には、他にも読み違いがある。1つは組閣で若手を大胆に抜擢したものの、党のナンバー2である幹事長に甘利明氏を起用した。甘利幹事長の金銭疑惑は、まだ払拭されていない」(政治アナリスト)

2016年、都市再生機構(UR)と補償交渉をしていた建設業者から甘利氏や元秘書らが現金や接待で計1200万円を受け取ったとされる疑惑だ。東京地検は嫌疑不十分で不起訴処分とした。甘利幹事長も会見で「説明責任は果たした」と述べているが、野党などは説明不十分として、追及の手を緩めていない。


また、西銘恒三郎・復興相兼沖縄北方担当相は過去、辺野古移設関連工事の受注業者から献金を受け取っていたことが発覚している。さらに、東京・新橋の「ガールズスナック」に計11万円余を政治活動費として支出していたこともバレた。


他にも、牧島かれんデジタル担当相はNTTから1人5万円のコース料理で接待を受けていたことを『週刊文春』に報じられた。


「朝日新聞世論調査で岸田内閣の支持率は45%だった。発足直後では小泉純一郎政権以降、最低の数字です。〝あまり〟の低さは、甘利幹事長を筆頭にさまざまな疑惑を抱えた灰色大臣が多い上、46歳の小林鷹之・経済安全保障担当相、牧島デジタル担当相は甘利人脈で、〝甘利内閣〟の臭いがプンプンする。それを国民に見透かされ、低支持率につながったとの分析もある」(同)


さらに、岸田内閣を不安のドン底に突き落としているのが、6日に発覚した年金不祥事だ。年金受給者に送られた『年金振込通知書』に、本人とは別の人の振込額や年金番号が誤って記載されていた。その数は約97万件にも及ぶのだ。

もし下野なら“超短命”断トツナンバーワン

「相変わらずの年金関連のズサンぶりに野党は『〝消えた年金〟を彷彿とさせる大問題』として、国会で徹底追及する構え。これが有権者に岸田政権不信を引き起こしつつある」(同)

『消えた年金』とは、安倍第一次政権時の07年に約5000万件という膨大な年金保険料の納付記録漏れが発覚した問題だ。


「消えた年金問題で当時の安倍政権は参院選に敗北、後に民主党政権誕生の引き金となった。年金問題を軽く見ると大ケガしますよ」(社会保険労務士)


かくして発足間もない岸田内閣は不安の船出となった。与野党にとって天下分け目と位置付けられる総選挙に影響はないのか。


「立憲民主党の小沢一郎代議士は、今年6月から北は北海道から南は沖縄まで全国行脚の真っ最中です。狙いは新人候補予定者にドブ板選挙を指南し、党の足腰を鍛えること。特に、若手らの事務所を回り『毎日街頭に立つ。知名度を上げろ』とハッパをかけています。立民の枝野幸男代表は小沢氏を煙たがっているが、平野博文・選対委員長は小沢ベッタリで『政権交代には小沢氏の力が必要だ』と頭を下げ、指導を仰いでいる。小沢氏も『政権をもう1回取るまで議員をやる』と並々ならぬ意欲を見せています」(政治担当記者)


岸田首相は14日、衆院を解散。「19日公示、31日投開票」の総選挙日程が正式に決定した。もしも〝下野〟の結果が突き付けられた場合は、在任期間〝超短命〟の断トツナンバーワンとなるが、果たして…。