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迫る巨大地震Xデー! 東京、鹿児島、青森、岐阜、石川…震度4以上続発…

(画像)VK Studio / shutterstock

10月7日午後10時41分頃、千葉県北西部を震源とする強い地震があり、東京都足立区と埼玉県川口市、宮代町で震度5強を観測し、関東南部の各地で震度5弱の揺れを記録した。

この地震による津波はなかった。気象庁によると、M(マグニチュード)5.9、震源の深さは約75キロメートルだった。

武蔵野学院大学特任教授(地震学)の島村英紀氏が言う。

「もし、震源がもっと浅くて30~40キロだったら、震度6くらいになっていたかもしれません。政府が想定している首都直下地震はM7~8の巨大地震です。今回の地震はその1000分の1くらいの規模で、横浜や横須賀周辺で起きた『宏観異常現象』とされる異臭騒ぎは解消されたとは言えません。人はすぐに地震の襲来を忘れてしまいます。関東を襲った今回の地震は警告になったのではないでしょうか」

埼玉、東京23区で震度5強以上の揺れを観測したのは、2011年の東日本大震災以来、10年ぶり。7日の地震では高層ビルなどがゆっくりと大きく揺れる長周期地震動が発生し、東京23区と千葉県北西部で4段階のうち下から二番目の階級2を観測した。首都圏の5都県で重傷5人を含む計54人の負傷が確認されている(8日時点)。

「高層ビルの高層階では、物につかまらないと歩くことができないほど揺れたそうです。棚にある食器類や本棚の本が落ちるなどの被害が報告されています」(全国紙社会部記者)

東京大学地震研究所の古村孝志教授は関東を襲った地震について、メディアにこうコメントしている。

「震源付近は普段から地震活動が活発なエリアで、震源の深さやメカニズムから見ると太平洋プレートの内部か、太平洋プレートとフィリピン海プレートの境界で起きた地震ではないか」

実は、05年7月に千葉県北西部を震源として発生したM6.0の地震とそっくりなのだという。当時、東京都足立区では同じく震度5強の揺れを観測したほか、関東南部で震度5弱を記録している。

「関東の地下では、陸のプレートの下に南からフィリピン海プレートが延び、さらにその下に東から太平洋プレートが沈み込んでいる。今回の地震の震源は約75キロと深く、フィリピン海プレートと太平洋プレートの境界付近がずれて発生した〝逆断層型〟の地震とみられる。プレート同士の境界付近では地震が頻発するんです」(サイエンスライター)

北の割れ残った所が危ない!

それにしても、全国で震度4~5強の地震が相次いているのが不気味だ。

首都直下地震前日の10月6日午前2時46分頃、岩手県沖を震源とする深さ約60キロ、M5.9の地震が発生し、青森県階上町では最大震度5強を観測した。震度5弱は青森県八戸市、南部町、岩手県盛岡市。また北海道から関東の広域で震度3~1の揺れとなった。

「千島海溝と日本海溝については、国が巨大地震や津波が切迫しているとしています。その想定震源域の中で岩手沖震度5強の地震が発生したわけですから、尋常ではありません。いつ巨大地震が起こっても不思議ではありませんね」(さる国立大学の地震学者)

気象庁は「発生後は1週間程度、最大震度5強程度の地震に注意」と呼びかけている。

「東日本大震災後、『北の割れ残った所が危ない』と、地震学者らは指摘していました。まさしく、ドンピシャの所で発生しました。もう少し震源が浅いと、津波が起きていたでしょう。不幸中の幸いでした」(防災ジャーナリスト・渡辺実氏)

東日本大震災は、太平洋プレートが陸側プレートにもぐり込む境界で発生した海溝型地震だった。

「北海道の十勝沖や釧路・根室沖で想定される千島海溝沿いの巨大地震も、同じ海溝型地震です。簡単に言えば、海溝型地震は、陸側のプレートが引きずり込まれて『ひずみ』が蓄積し、それが限界に達して跳ね上がることで発生します。三陸沖を震源とした東日本大震災では、長さ約480キロ、幅約150キロにわたる広範囲で岩盤が割れたとされます」(前出・サイエンスライター)

東日本大震災と同じようなことが、北海道の沖合にかけての千島海溝沿いや、岩手県沖合にかけての日本海溝沿いで起こるとされているのだ。国は最大規模よりも小さいM7級の地震が起きた場合、続けて巨大地震を引き起こす注意喚起の検討を進めているほど。

「そういうことが分かっていたので、M6、7の地震が起きたら、相当ヤバいぞと思っていたんです。今後、北海道沖でも同様のことが起きたら大変なことになるでしょう」(渡辺氏)

何しろ、M9クラスの巨大地震が発生して20メートル以上の津波が押し寄せてくるのだから、その被害はハンパではない。国は30年以内に70%の確率で起きるとされる南海トラフ巨大地震を想定し、警報等をより細かく規定している。

2035年プラスマイナス5年…

「南海トラフ地震臨時情報には、震源域の半分が動くM8クラスの地震が発生した時に出される『巨大地震警戒』と、震源域の一部でM7クラスの地震が発生した場合や、さらに普段と異なる地殻変動が見られた際に発表される『巨大地震注意』が準備されています」(前出・社会部記者)

現代は地震活動期とされる。歴史上、活動期は何度もあるが、現代と対比されるのが約1200年前の貞観時代である。

「貞観時代には、大きな地震と火山噴火が頻発しています。〝1000年前の東日本大震災〟と言われる貞観地震の5年前の、貞観6年(864年)には富士山の貞観大噴火が起きている。また、貞観地震の2年後の貞観13年(871年)には山形県と秋田県にまたがる鳥海山が噴火した。さらに、貞観地震の9年後の元慶2年(878年)には、伊勢原断層の活動、あるいは相模トラフのプレート間地震とも推定されるM7.4の相模・武蔵地震と呼ばれる現在の首都直下大地震が発生している。そういう歴史上の観点から、東日本大震災の9年後にあたる2020年に〝首都直下大地震が起きる〟と一部の研究家は予想していた」(地震研究家)

まだある。この頃、朝鮮半島では白頭山も大噴火し、西日本では貞観10年(868年)に播磨地震が発生。やがて、仁和3年(887年)に南海トラフ巨大地震と推定される仁和地震が襲来したのである。

仁和地震は南海、東海、東南海との連動説があり、その規模はM8.5と推定されるのだ。

「2035年プラスマイナス5年といわれる南海トラフ地震も前回が小ぶりだったため、今度は連動説が有力視されています。その規模はM9前後と予想される。2011年、宮城・三陸沖で発生した地震は東日本大震災と名付けられましたが、2035年前後に起こる南海トラフは西日本大震災と呼ばれるでしょう。さらに、富士山がいつ噴火しても不思議ではない。貞観時代と現代を比較すると、その様相はとても似通っています」(前出・サイエンスライター)

「つい最近、石川・能登半島で南海トラフ地震の先駆けと見られる震度5弱の揺れが発生したと思ったら、岩手・青森の震度5強地震でしょ。鹿児島では震度4が発生している。40、50年前は地震の静穏期が続いていたのに、今や日本中、滅茶苦茶ですよ」(島村氏)

日本全国で巨大地震Xデーが刻々と迫っている。

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