フィギュアスケーターの紀平梨花が、突然の出場取り消し。この決断は来年2月開催の北京五輪に向けて、一種の「賭け」と言っていい。
10月7日、日本スケート連盟が「紀平が欠場し、補欠エントリーしていた三原舞依が代わって『アジアンオープントロフィー』(中国・北京、13~17日)に出場する」と発表した。1週間ほど前、紀平は同大会への意気込みを語っていたはず。突然の変更である。
「フィギュアスケーターの大半が腰痛持ちですが、紀平も同様です。硬い氷の上で飛び、着地したときの負担によるものです」(スポーツ協会担当記者)
連盟は「体調不良か?」の質問を一蹴したが、紀平の活動拠点はカナダ・トロントで、直行便の飛行機でも約13時間かかる。長時間移動で体調を崩すのを避けたのだろう。
コロナ禍が完全に収まっていないせいもある。紀平は当面の照準を10月下旬のGPシリーズ第2戦、カナダ大会からの参戦に切り替えたようだ。
“コスプレ”はOKなのに…
「過去、GPシリーズの中国大会でも指摘されましたが、同地のスケートリンクの氷は独特なのです。彼らの言葉を借りると『柔らかく、すべる』らしい」(同)
この場合の「すべる」とは、スピードが出るという意味。選手のイメージよりスピードが出ると、リンク・フェンス近くに早く到達してしまい、ジャンプで大技を使うときのポジション決めが難しくなる。
「アジアンオープントロフィーの会場は、五輪本番と同じです」(連盟関係者)
移動が難儀でも出場したほうがよさそうだが…。
「7月のオフ、紀平は兵庫県西宮市で交通安全大使を務め、女性警官の制服姿をツイッターに掲載していました」(同)
紀平は昨年のちょうど今頃、ステファン・ランビエール氏の元を離れ、ブライアン・オーサー氏の門を叩いた。コーチ交代は北京本番を見据えてのことだが、あまりに変更が多すぎる。
「コスプレはできても、長距離移動は無理なのか?」の声も聞こえてきそうだ。