『WHOLE ホール』
監督/川添ビイラル
出演/サンディー海、川添ウスマン、伊吹葵、菊池明明、尾崎紅、中山佳祐、松田顕生
配給/アルミード
先日、川添ビイラル監督から連絡をいただいて、ぜひ推薦コメントを…と。作品を見させていただいた私は「推薦コメントよりも週刊実話で書くよ!」と即決。短い上映時間だからこそ言いたいことがストレートに伝わる。この気持ちを、みなさんに理解してほしい!
日本で、ハーフとして生きることって結構、大変なことなんです。芸能界やモデル界ならあまり言われないかもしれないけど、一般社会で働いているハーフだと、顔が少し外国人っぽいだけで、すぐに「どこから来たの?」「お箸の使い方うまいね~」「納豆は食べられる?」と、決まって聞かれます(私も経験済み! 今でも納豆のことは聞かれます)。もちろん、悪気などなく聞いているのだろうけど、日本生まれで日本育ちのハーフにとっては苦痛に感じることも…。ちなみに私が、自分がハーフであることを誇りに思えたのは40歳くらいの時。今でも名前が長すぎてネットで買えなかったりしますが…。
本作では、川添監督の弟、川添ウスマンさんが主演の誠を演じています。バリバリの日本語で〝俺は日本人〟と言っても、見た目だけで判断されてうんざりする。でも、根っからの明るい性格で助かってる。そんな誠とは対照的に、外国から親に相談もせず日本に帰国した春樹(サンディー海)は、嫌な思いをすることばかりで空回りの連続。でも、この正反対のハーフ同士が出会うことによって生まれるケミストリーがイイ。
多様性を目指す今、見るべき作品
一つ、声を大にして言いたいのは、これはハーフだから理解できる映画ではないということ。日本ではハーフに憧れを抱く人もいれば、差別したりする人もいます。そんな社会の中、ハーフが日本にいてどう思っているのかを知るには、こうしたエンターテインメントがマッチしてると思う。
ドキュメンタリー作品ではありませんが、私は個人的にウスマンさんがとても魅力的でした! 友達になりたいと思う。お母さんとの関係性も羨ましければ、劇中に出てくる彼の友人たちがまた最高にイイ。彼らが誠と接する時の気持ちがストレートかつユーモアたっぷりで、〝あの会話の輪に入りたいなぁ~〟と微笑ましく見てしまいました。
でも、そんな誠の明るさの裏側にある気持ちを知ると、とても切なくて、〝グッドルッキングガイ〟が可愛く見えてしまいます。そして、春樹には元気をあげたい、ハグしてあげたい気持ちになりました。
この作品は、彼らから学べる、自分自身の成長物語かもしれません。
LiLiCo
映画コメンテーター。ストックホルム出身、スウェーデン人の父と日本人の母を持つ。18歳で来日、1989年から芸能活動をスタート。TBS『王様のブランチ』、CX『ノンストップ』などにレギュラー出演。ほかにもラジオ、トークショー、声優などマルチに活躍中。
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