11月8日に始まった大相撲で、また異常事態発生だ。
本来なら「九州場所」と称される今年最後の十一月場所が、コロナの影響で、舞台を福岡市から東京の両国国技館に移して開催。さらに、白鵬と鶴竜の両横綱が、またもや休場しているのである。
「複数の横綱が2場所連続で初日から全休するのは史上初のこと。白鵬は先日の合同稽古で新大関の正代や御嶽海らに圧勝しましたが、そのあと再びヒザに痛みが出たらしい。鶴竜は、ハッキリ言って、もう限界ですが、まだ日本国籍を取得していないので、辞めたくても辞められない。来年の春あたりには日本への帰化が認められる予定なので、それまではズルズルと休場を続けるつもりでしょう」(担当記者)
白鵬の師匠・宮城野親方(元幕内竹葉山)は、「もし休場すれば、来場所は進退を賭けなくてはいけない」と言っていたが、あっさりと前言撤回。こちらも、しばらく居直るつもりだろう。
「日本人には『潔さ』とか『引き際』といった美学があるが、彼らには、そうした感覚がまったくない。ケガによる休場は〝権利〟だと思っているのでしょう。負けを認めないトランプ大統領のように、決して自分から辞めるとは言いませんよ。それを強く正すことができない師匠や横審の責任も重大です」(同)
“復権”を目指す17場所ぶり三役の照ノ富士
そんな白鵬、鶴竜と、かつて激しく覇を競い合った力士たちは、〝復権〟を目指して必死に土俵に上がっている。
中でも、17場所ぶりに三役に返り咲いた照ノ富士の大関復帰に懸ける思いはひとしおだ。爆弾(ひざの古傷)を抱えているだけに、「爆発する前にやらなきゃいけない」と、ここからの3場所に気合い十分。
4場所ぶりに同じ小結まで再浮上してきた高安も、大関の座に対するこだわりでは引けを取らない。今年8月に結婚した演歌歌手の杜このみさんが来春に出産予定とあって責任重大だ。
33歳の栃ノ心も、「まだ老け込む年齢ではない」と意気軒高。さらに今場所、十両に転落した関取最年長、36歳の琴奨菊も幕内復帰に懸命だ。
「引退したほうが体の負担的には楽なんですけど、(自分が目指すのは)そこじゃない」と、場所前には若手と連日、真っ黒になって汗を流していた。
地位にあぐらをかいて楽をする者と、あえて茨の道を選ぶ者――どちらが尊敬されるかは論を俟たない。
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