蝶野正洋 (C)週刊実話Web
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蝶野正洋『黒の履歴書』~最近の若者に広がる大麻・マリファナ問題

警察の発表によると、今年の上半期に大麻事件で摘発した人数が、前年同期に比べて305人も増えて2544人にも上り、過去最多を更新したそうだ。その摘発者の実に7割が10~20代で、若者層への蔓延が深刻化している実態が明らかになった。


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大麻・マリファナはEUに次いで北米でも解禁になってる地域があるから、それが日本にも伝わって若者に広がる原因の一つになってると思う。


ひと昔前と違い、今はネット社会だから、海外情報はいくらでも入ってくる。


若者たちは、マリファナに関連したファッションやカルチャーをネットでダイレクトに見たり聞いたりしてるだろうから、その影響も大きいだろうね。


すでに解禁してる国にとって、大麻は大きな産業になっている。俺にカナダ人の知り合いがいるんだけど、その彼の奥さんはマリファナのメーカーで社長秘書を務めていて、ごく真っ当な企業として急成長しているらしい。


日本から想像も出来ないようなカルチャーに思えるけど、日本にも古来から大麻の文化というものはあった。そんなことも、今は調べればすぐに分かる。


酒やタバコと同様に大麻を嗜好品としてどう取り扱うかは、文化や慣習によってさまざまだし、それぞれの宗教にも関わってくる。日本にも日本ならではの大麻の歴史が存在するんだよ。


近年を見直せば、日本は明治維新後の第二次大戦くらいまで、薬物を社会的に悪用した歴史があった。それに、今では違法とされてる薬物が、普通に町の薬局で売られていた時代もあったからね。俺らのお祖父ちゃんくらいの世代は、薬物経験者という人も多かったんじゃないかな。

歴史と文化を学ぶべし!

今の若者に大麻や違法ドラッグの違法性を説明するのであれば、この辺のところを隠さずに説明した方が分かりやすいと思う。

それと、医療用大麻の有用性も分かってきている。痛みを伴う治療を行ってる人や、末期がん患者にとっては必要なものだ。日本ではそれも全部含めて大麻はダメと言い切ってしまう人もいるけど、思考停止な気がするよ。


まぁ、マリファナなんてやりたい奴は違法だろうがやればいい。酒もタバコも取りすぎれば害になるんだから、そこは理解した上でね。


ただ、俺は酔っ払いが嫌いなんだけど、さらにラリッた奴らが街中でウロウロされるのも迷惑だから、少なくとも日本ではやらないでもらいたいけどね。


とにかく、同盟国のお隣さんが解禁してるのに、「隣は隣、ウチはウチ」と若者に説明したところで説得力がない。まず、ウチにはウチの歴史と文化があることを伝えないといけない。


例えば、アメリカでは銃の所持が許可されている。俺たち日本人にとってみれば、日常的に銃がある社会というのは想像がつかないし、国としての成り立ちや国民の意識が違うとしか言いようがない。そこにはアメリカにとっての銃の歴史というものがあるし、それを理解してからの是非論だと思う。


日本では、歴史的に言えば多くの戦争には薬物の問題が存在していた。それも認めた上で「日本は慎重に考えるべき」という説得の仕方もあるじゃないか。
蝶野正洋 1963年シアトル生まれ。1984年に新日本プロレスに入団。トップレスラーとして活躍し、2010年に退団。現在はリング以外にもテレビ、イベントなど、多方面で活躍。『ガキの使い大晦日スペシャル』では欠かせない存在。