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ヤマダ電機社長の辞任で分かった! 日本企業“後継者選び”の悩ましさ

(C)週刊実話Web 
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去る9月15日、ヤマダデンキなどを展開するヤマダホールディングス(HD)は、三嶋恒夫社長(62)が健康上の理由により9月30日付で辞任し、創業者の山田昇会長兼CEO(78)が社長を兼務すると発表した。

ヤマダデンキといえば、いわゆる街の電器店から創業し、顧客目線による複数メーカーの商品構成、薄利多売、多店舗展開を推し進め、2000年には東証1部上場。国内最大手の家電量販店に上り詰め、現在もその座を譲っていない。

三嶋社長は20年10月、ヤマダHDの社長に就任。同じく家電量販店『エディオン』で新規事業を大きく伸ばした実績があり、山田会長にとっても喉から手が出るほどの人材であった。

今回の報を聞いて「人柄もよく、まさにこれからのヤマダをいい方向に変えてくれると思っていたので、健康状態が理由とはいえ残念だ」と、その辞任劇を悔やむ声は社内からも多い。

全国の企業の65.1%が後継者不在

実は高齢化が進む日本経済界において、経営陣の体調不良によって事業承継が滞ることが、ここ数年頻発している。

「詳細な統計はなく肌感覚ですが、60代前半の経営者が体調不良で職務から離脱するケースが増えているように感じます。最近は後継者の高齢化も進み、事業承継がうまくいかない場合、外部からの買収など企業としての危機もあり得ます」(経営コンサルタント)

一方で、外部から経営者を招聘することに関しては、カリスマ経営者などと呼ばれていた人物のメッキが剥がれ落ちた事例が多発したことから、以前よりも敬遠される傾向にある。後継者問題に悩む経営者にとっては、まさに八方ふさがりの状況だ。

帝国データバンクによると、全国の企業の65.1%が後継者不在だという。また、後継者へ事業承継を行う際にかかる歳月については、「3年以上」という回答が半数を超えている。

多くの経営者を悩ませている事業承継のポイントは、とにかく早めの人選を行うことと、後継者の年齢や健康状態をしっかりと見極めることに尽きるようだ。

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