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尼崎射殺事件控訴審――ヒットマン“出廷拒否”の真意

(C)週刊実話Web

六代目山口組・髙山清司若頭の出所直後となる一昨年11月に、兵庫県尼崎市で神戸山口組・古川恵一幹部が路上で射殺された事件。殺人などの罪に問われ、一審の神戸地裁では無期懲役の判決を下されていた朝比奈久徳元竹中組組員の控訴審が9月27日、大阪高裁で開かれた。

「朝比奈元組員は竹中組の処分者やったが、古川幹部を射殺した凶器が軍用の自動小銃やった点や、犯行後には京都に向かい、別の神戸山口組直系組長の殺害を計画していた点などから、神戸側との対立抗争のヒットマンとして業界内外に衝撃を与えたんや」(地元記者)

朝比奈元組員は国選弁護人を立て、当初から犯行を全面的に認めたのだ。

控訴審当日、裁判長が開廷を告げた法廷に、朝比奈元組員の姿はなかった。

「弁護側の控訴理由は量刑で、検察側の主張も一審と同じやった。裁判長も淡々と確認作業を行って、たった1分で閉廷したで」(同)

しかし、当の被告人が出廷しなかった理由は、こうした裁判を見越していたからではないという。ある他団体関係者は、朝比奈元組員の心情についてこう話す。

「逮捕されたのちの取り調べの段階から、尼崎の次に京都へ向かった理由も包み隠さず話しており、それによって殺人予備の罪も加わったと聞く。死刑でも構わないという覚悟で犯行に臨んだようで、裁判でも本人に争う気は毛頭なかった。都合上、控訴しただけだから、当日に出廷しなかったのも当然だろう」

判決は11月29日に予定されており、その後に上告しない場合は刑が確定する。

今となっては“真相”は薮の中…

「犯行前には井上組長の身辺も探っていたというが、神戸山口組との対立で初めて直系組長が射殺された事件だった。戦局が大きく動くことになった」(同)

今回の分裂抗争では、平成28年5月に池田組若頭を射殺した三代目弘道会傘下の山本英之組員(当時)にも無期懲役が下され、上告の末に刑が確定。現在、服役中だ。検察側が組織性に言及しながらも、山本組員が一人で〝背負う〟格好となったのである。

「朝比奈元組員の事件にも、同様のことが言えるで。自動小銃の入手経路など、まだ解明されとらん部分はあった。せやけど、今となっては〝真相〟は薮の中やな」(前出・地元記者)

山口組の分裂から6年の間に、死者、負傷者、逮捕者が相次いだ。分裂直後の平成27年10月に長野県で銃声が鳴り、初の死者が出て以降、両山口組は抗争に突入。各地で射殺事件が起き、複数の血が流れた。直近では、神戸山口組の山健組・與則和若頭が8月に銃撃される事件が発生。犯人は特定されていないが、抗争事件との見方が強い。

「手応えを得られんかった犯人は、発砲後に與若頭を執拗に追い掛けとるからな。オリンピックの開催期間中に音が鳴ったときは信じられんかったが、何が起きてもおかしくない状況いうことやな」(同)

長期服役をも辞さない覚悟で臨むヒットマンたち。組織を離れたとしても、山口組統合を願う気持ちは同じなのかもしれない。

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