東京ドーム (C)週刊実話Web
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巨人・阿部慎之助“新内閣”の目玉!? ソフトバンク工藤公康監督が入閣か

巨人・阿部慎之助二軍監督の「監督昇格」と抱き合わせで、今季でソフトバンクとの契約が切れる工藤公康監督を「後見役」に就ける案が浮上した。


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巨人では長嶋茂雄監督時代に与那嶺要、武上四郎氏を、王貞治監督時代にも山内一弘氏といった監督経験者をコーチで招き、強固な内閣を構築した。〝ON連携〟の究極の一手か!


10月を迎えても、プロ野球はセ・パともに混戦模様。パ・リーグでは、47年も勝率1位の優勝から遠ざかる千葉ロッテが首位で、25年間リーグ優勝経験のないオリックスが2位。日本シリーズ4連覇中のソフトバンクはクライマックスシリーズ(CS)進出さえ危うい(9月30日時点)。


この大きな番狂わせが、回り回って巨人の次期監督選定問題に飛び火し、阿部二軍監督の就任が有力になってきたというから驚く。その鍵を握るのが、ソフトバンクの工藤監督なのだ。


今季で計7年の契約が切れる工藤氏について、球団はシーズン中ということで進退を先送りしている。しかし、工藤氏周辺によれば、V逸の場合は責任を取る考えを伝え、すでに球団も了承しているという。


「優勝戦線から脱落したソフトバンクに対し、孫正義オーナーはツイッター(16日)で『攻めよ。勝ちたいなら』と謎の投稿をした。これを球団サイドは〝監督交代指令〟のサインと受け取め、秋山幸二前監督、小久保裕紀ヘッドコーチ、城島健司会長付特別アドバイザーに候補を絞り、新体制作りに着手した。これだけスムーズに監督交代が進むのは、王球団会長が工藤監督の受け皿を整えたからこそ」(スポーツ紙デスク)


地元メディアの情報も合わせると、工藤氏の転身先は阿部監督への移行準備を進める巨人が有力という。


工藤氏は選手時代の1999年オフにFAで前身のダイエーから巨人に移籍し、翌年に長嶋巨人を日本一に導いた過去を持つ。その年のドラフトで巨人に1位入団したのが阿部だ。


工藤氏は長嶋監督の意を受けて阿部に英才教育を施し、以来「師弟関係」に。そこで浮上したのが、新監督の後見役を工藤氏に託すプランだというのだ。

ミスターの“カンピューター”がはじき出した!?

「発案者は長嶋終身名誉監督で、ONの連携プレー。工藤のような大物監督をコーチで招くのは混乱を招きかねないが、巨人では古くから使われる手法。長嶋監督時代には中日監督だった与那嶺さんやヤクルト監督経験者の武上さんを打撃コーチで招き、王巨人もロッテや中日で監督を務めた山内氏を打撃コーチで招請し、チームに喝を入れた。今回もそれ。新監督の阿部にとって工藤氏の入閣は、戦力強化とともに先輩コーチの不満を封じる防波堤にもなる。ミスターの〝カンピューター〟が『阿部監督、工藤入閣こそベストチョイス』とはじき出したのだ」(巨人OBの野球解説者)

投手実績、野球理論ともライバル候補の桑田真澄チーフ投手コーチ補佐を上回り、ソフトバンクの育成システムも熟知する。阿部巨人に工藤氏の頭脳とキャリアが加われば、おのずと「次期政権」は見えて来る。


また、読売本社の工藤氏への信頼も厚い。プロ野球で最も名誉ある賞の1つである「正力松太郎賞」の初代受賞者は王会長だが、最多受賞者は5回の工藤氏なのだ(投手で1回、監督で4回)。昨年までの6季でソフトバンクにリーグ優勝3回、日本一5回をもたらした手腕は、現在の球界屈指。しかもここ2季は日本シリーズで原巨人を連続で4タテにした。読売グループには「工藤監督強奪こそ、日本一奪回への一番の近道」との意見が根強い。


さらに本誌が得た情報によれば、工藤氏の元には古巣西武と、自宅が近い横浜DeNAから非公式な監督オファーがあったという。この情報をキャッチし、先手を打ったのが巨人なのだ。

“次の次の監督”という戦略

西武、横浜の監督の方が巨人コーチより魅力的に映る。しかし、リアリストの工藤氏は空手形より計算できる進路を選んだわけだ。

「巨人の要請では、阿部巨人がぬかるみにハマった場合、監督昇格のオプションも含むはず。今オフの工藤擁立も検討されたが、敵将をいきなり監督に据えては仁義に反する。王会長に配慮し、ワンクッション置く形でコーチ入閣が落としどころ。同時に、次の次の監督にという巨人の戦略が透けて見える」(前出・解説者)


もう1つ、工藤氏の巨人入りを押しているのが、巨人軍の「亜流の頂点」とされるOBの広岡達朗氏。西武監督時代の「広岡学校」からは田淵幸一、東尾修、森繁和、工藤、石毛宏典、秋山、伊東勤、渡辺久信、辻発彦ら多くの監督が誕生したが、生え抜きを重んじる古巣巨人ではゼロなのだ。


「巨人内にも広岡イズムを評価する声があり、そのDNAを受け継ぐラストチャンスが今回の工藤氏招請なのです。かつてナベツネさん(渡辺恒雄・読売新聞グループ本社代表取締役主筆)が星野仙一氏の監督擁立を進めましたが、OBの強い反発に遭い断念しました。しかし、工藤氏はれっきとした巨人OBで、長嶋、王、広岡の〝OB3巨頭〟の後押しもあります。つまり、現役が中日一筋だった星野氏とは事情が異なる。コーチで奉公した上で巨人監督就任なら障害はありません」(日本テレビ関係者)


原辰徳監督の後任は、阿部二軍監督のほか、桑田コーチ、吉村禎章作戦コーチらの名も囁かれているが、GMとして残る原監督が阿部にバトンを渡し、工藤氏がベンチを束ねる――。基本路線に大転回した。