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蝶野正洋『黒の履歴書』~持続化給付金の不正受給問題

蝶野正洋 
蝶野正洋 (C)週刊実話Web

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、業績が悪化した中小企業や個人事業者を支援する「持続化給付金」事業が、予定どおり終了する流れになった。この給付金のおかげで助かった中小企業は多かったと思う。

一方で、不正受給で逮捕された人が出てきているし、それを聞いて怖くなって自ら返納している人も増えているらしい。

今回の給付金は、政府もやる前からズルする奴が出てくることは分かっていたと思うし、ある程度は仕方がないと考えてたんじゃないかな。支給要件も単純で、今年1月から、1回でも売上が前年同月比で50%以上減少していたら支給されるという。このあたりに不正者がつけいる隙があったんだろうけど、それでも政府はスピード重視で、どんどん支給していった。

俺は、この対応はそこまでおかしくなかったと思う。先行きが不透明の中で、困っている事業者を救済することが先決だったからね。

「GoToキャンペーン」も、言ってしまえば穴だらけだよ。GoToイートで安い店に行って1品だけ頼むとか、そういうシステムの穴を突いて小銭を稼ぐようなテクニックが広まっている。それで、キャンペーンに対して否定的な意見も上がっている。ただ、政府に対して「もっとしっかりやれ」くらいならいいけど、「不正が多いから中止しろ」みたいな意見は、どうなのかなって思う。

仮にGoToキャンペーンに9割の人たちが満足していて、1割の人たちが反対しているとする。その1割の反対意見を取り上げると、せっかくうまく進んでいたことが中止になってしまう可能性がある。

もちろん、少数派の意見を聞くことも大事だと思う。でも、その1割を満足させようとシステムの作り直しなんてしたら、手間暇が掛かるし何もできない可能性だってある。結局、全体の足を引っ張るだけなんだよ。

一部の不正で全体が犠牲となるのは良くない!

今回の不正受給に関しては、そもそもブローカーみたいなやつが暗躍していたんだよ。大学生にまで声をかけて、書類をまとめて虚偽の申請をしていたみたいだからタチが悪い。これは構造的に、生活保護の不正受給と一緒だろうね。

だから、そういう犯罪者と、事業が赤字になって給付金を受け取った人を一緒にしてはいけない。報道を見てると、給付金を受け取った全員が政府からカネをせしめたイメージになっている。これは、テレビや報道メディアにも責任がある。給付金を不正受給した人の割合がどのぐらいだったのかは分からないけど、その一部の事例に光をあてて、声を大きくして騒ぎ立てるとイメージが悪くなる。

そういう悪いやつはすぐに捕まえて、コロナが収まったら「こんなズルいことをしていた人たちがいました」って報道するのがちょうどいいのかもしれない。

今回に限らず、不正に手当てを貰う連中はいる。生活保護費の不正受給なんてのも一時期、取り上げられたが、まだまだ取り締まりはできてないはず。今回のことも含めて、マイナンバー制度は必要なんだろう。

不正を取り締まれないから、メディアの啓発協力が必要になる。一部の不正に全体が犠牲となる、古いしきたりはなくすべきだな。

縦割行政で進まないマイナンバー制度だが、デジタル庁に期待しよう。

蝶野正洋
1963年シアトル生まれ。1984年に新日本プロレスに入団。トップレスラーとして活躍し、2010年に退団。現在はリング以外にもテレビ、イベントなど、多方面で活躍。『ガキの使い大晦日スペシャル』では欠かせない存在。

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