1つ目の年内解散は、菅内閣発足時にしきりと永田町で飛び交った。「秋田の農家出身」「たたき上げ」「苦労人」など、菅首相の庶民的経歴が国民に好感を持たれ、歴代3位という7割超えの高支持率となった。ここで解散すれば、準備不足の野党に大勝するのは間違いないという読みだ。
「確かに、自民党内の早期解散圧力もあり、菅首相はその線を一時模索したのも事実だ。しかし、一方で発足時から『国民のために働く内閣』を標ぼうした。だから、実績を上げるまで解散しないと決断したのです。要するに、内閣発足直後に掲げた『携帯料金の値下げ』『コロナ10兆円第3次補正予算』などの見通しを立ててからの解散ですよ。その下準備に時間を要するため、年内解散はなくなったと言われている」(同)
残りの選択肢は来年だ。まず3つ目に当該する7月説は連立を組む公明党と、支持母体である創価学会が最も重要視する東京都議会選挙が近いため、解散総選挙の理解は得られにくい。4つ目は任期満了とほぼ変わらず、野党の選挙態勢が整っているため、自民党大敗の確率も高くなる。
菅首相シンパの無所属議員がこう懸念する。
“第2の森友”に発展しかねない『週刊新潮』の報道
「菅首相も、できるだけ早く解散することを念頭に置いている。先延ばしすればするほど、政権にとってマイナスとなるのは分かっている」
菅政権にとって、目先のマイナスは日本学術会議会員候補任命問題だ。
「任命しなかった6人には菅首相なりの信念があるのだろうが、世論は支持していない。任命拒否の理由を〝ハッキリさせろ〟という声が日々高まっている。共同通信社の調査(10月17~18日)では約73%にも達している。この問題を甘く見ていると、ボディーブローとしてジワジワ利き、政権の命取りとなりかねない」
また、『週刊新潮』(11月5日号)が報じた菅首相の有力支援者K氏の会社による不透明な土地取引も浮上している。
「神奈川県の県有地がK氏の会社に随意契約で格安で売却(2015年)された。この土地は保育所利用、10年間は転売禁止などの条件も付与されていたが、2016年に条件が突然曖昧に緩和されている。そして、大手住宅メーカーに6億円弱で転売され、K氏の関連企業が多額の利ザヤを得た。K氏の会社はこの払い下げのプロセスで菅首相(当時の官房長官)の名前を出したという証言もあり、第2の森友学園疑惑に発展するのでは、と東京地検特捜部も大きな関心を寄せています」(全国紙司法記者)
今後の国政スケジュールを見ても、菅政権のスキャンダルが噴出しかねない前の1月冒頭解散か、補正予算成立後の1月解散がベターなのだ。
「菅首相と気脈を通じる公明党=創価学会が、11月から東京12区を皮切りに全国で総選挙体制で動き出したと聞いている。1月冒頭解散風は強くなりつつある」(野党議員)
各党、臨戦態勢に入った。
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