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北朝鮮・金正恩総書記が重篤?“激ヤセ”招いた猛烈なワクチン副反応

(画像)akedesign / shutterstock

9月11日と12日、新たに開発した新型長距離巡航ミサイルの試験発射を実施した北朝鮮。

建国73周年の記念日を迎えた9月9日未明、平壌の金日成広場で「閲兵式」を実施したが、5年や10年ごとの節目以外での軍事パレードも異例のことである。

そこには長引く経済難による庶民生活の困窮、そしてコロナ禍という国内事情があり、祝典のスローガンとして「富強」と「以民為天」(人民を天のように崇める)が掲げられた。

金正恩総書記は軍事パレードに出席したものの演説をせず、正規軍である朝鮮人民軍も登場しなかった。これらのことから対外的な武力誇示よりも、建国記念日の慶祝と体制結束に重点を置いていたとみられる。

「東京五輪のブルーインパルスに似せた戦闘機の夜間祝賀飛行やパラシュート兵の降下、若者たちによる夜間舞踏会など、華やかな演出は黒子に徹した金与正党副部長の企画でしょう」(北朝鮮ウオッチャー)

軍事パレードは、予備兵で構成される労農赤衛軍、赤い青年近衛隊、社会安全省(警察・消防)の人員などによる7000~8000人の行進と、通常兵器の隊列を主軸にしており、大陸間弾道ミサイル(ICBM)などの戦略兵器は登場しなかった。

今回の軍事パレードは、軍ではなく、朝鮮労働党が主導したことも異例だった。党を代表して趙甬元組織書記が、臨席上官として正恩氏の代わりに敬礼しており、党が主導権を握った祝典であることを象徴していた。

党機関紙の労働新聞(9月7日付)は、6月に新型コロナウイルス対策の責任を問われ、元帥から次帥に降格された朴正天氏が、約2カ月ぶりに党の要職(政治局常務委員)に復帰したと報じた。まさに北朝鮮らしい、上がり下がりの激しいエレベーター人事である。

党と軍によるクーデターが成功!?

「軍事パレードでは、『序列5』トップの正恩氏以下、4人のうちの1人として朴氏は登壇しています。朴氏は唯一の軍人でありながら、登壇時にスーツを着ていたのも印象的で、これはスーツ姿の正恩氏に倣って党主導をアピールしていたのでしょう。現行の体制は明らかに党が正恩氏を操っており、朴氏の復権を深読みすれば、党と軍によるクーデターが成功し、それを誇示する祝典だった可能性もあります」(北朝鮮に詳しい元大学教授)

翌日にネット住民がザワついていたが、最も話題となったのが正恩氏その人である。あまりの豹変ぶりに「整形」と揶揄されたほどで、さまざまな臆測が飛び交った。正恩氏は明らかにスリムになって若返っており、まことしやかに影武者説も流布している。

「正恩氏は今年5月、地方の特閣(別荘)でワクチン接種を受けました。ところが、基礎疾患を抱えていることもあり、猛烈な副反応が出て、高熱や嘔吐など激しい症状に悩まされたそうです。そのおかげで、予定外の静養を余儀なくされました」(前出・北朝鮮ウオッチャー)

確かに正恩氏は、5月5日に軍人家族芸術サークルの公演を観覧後、6月4日に党中央委員会を主宰するまで、約1カ月間にわたり姿を見せていなかった。

そこで気になるのが、正恩氏を取り巻く女性たちの立ち位置だ。正恩氏は9月10日、先代と先々代が眠る錦繍山太陽宮殿を党や軍の幹部ら約50人を引き連れて参拝したが、その際、しばらく姿を見せなかった李雪主夫人も同行していた。

李夫人が公式の場に現れたのは、5月に正恩氏と前述した軍人家族芸術サークル公演を観覧して以来、約4カ月ぶりのことである。

正恩氏の寵愛を受けるエリート女性歌手

「女性問題に関連しては、9日に労働新聞が公開した記念写真から、騒動が巻き起こりました。正恩氏の両側に、朝鮮中央テレビの李春姫アナウンサーと、北朝鮮のエリート芸術団である『国務委員会協奏団』の歌手、キム・オクチュ氏がいたことです」(同)

李氏といえば、70代後半ながら朝鮮中央テレビの看板アンカーで、抑揚のある声と断固たる話しぶりで有名だ。2011年12月17日には全世界に向け、金正日総書記の死去を朗々と伝えている。

「故・正日氏の愛人説もあり、一時は引退したかと思われましたが、今回の軍事パレードの録画中継でナレーションを担当したようです」(国際ジャーナリスト)

問題はキム氏で、彼女は7月に「人民俳優」の称号を受けるなど、正恩氏に寵愛されている。この称号が授与されたのは、15年以来6年ぶりのことだ。

「キム氏への批判が噴出したのは、写真の中でキム氏の手が、正恩氏の手の上に重ねられているように見えるからです。これが美貌を武器に元帥様に媚びていると見なされ、幹部夫人層から『破廉恥極まりない』と不評を買いました。正恩氏が珍しく宮殿参拝に夫人を同行させたのも、周囲への釈明の意味合いがあったからでしょう」(同)

これで思い起こされるのは、歌手出身で三池淵管弦楽団の団長を務め、さらに党中央委員会委員と宣伝扇動部副部長にして、陸軍大佐でもある玄松月氏だ。彼女は陰で正恩氏の「1号宅(筆頭側室)」と呼ばれているが、間もなく同じ歌手出身の「2号宅」が誕生するかもしれない。

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