北朝鮮 美人エリート外交官「強制労役」と金正恩夫人「出産説」

崔氏は2019年2月、ベトナム・ハノイで開催された米朝首脳会談において、正恩氏に同行した「側近11人組」の1人。このときは会談決裂の責任を問われ、11人組の一角であった与正氏でさえ、一時は党中央から外されている。

やはり11人組の1人で、崔氏のライバルだった金聖恵統一戦線部策略室長などは、同年6月に政治犯収容所に送られたと報じられて以降、いまだ消息不明だ。

「しかし、崔氏は問責されるどころか、むしろ政治的な権威を増していきました。それほど正恩氏の覚えがめでたかったのですが、今回は李善権外相との政争に敗れ、協同農場送りとなったようです。李氏に軍配を上げたのは与正氏で、米朝首脳会談後に崔氏と明暗が分かれたことへの意趣返しとみられています」(国際ジャーナリスト)

また、崔氏の復帰と入れ替わるように、今度は李夫人が失踪したと話題になっている。

「北朝鮮の国営通信が李夫人について報じたのは、今年1月の新年イベントが最後。それ以来、すでに9カ月間も彼女の姿を見ることができません。金日成広場で10月10日に開催された軍事パレードにも出席していませんから、さまざまな憶測が流れています」(前出・大学教授)

4年前も同じように…憶測呼ぶ9カ月間の消息不明

実は今年8月25日の「先軍節」60周年に際して、軍高官らを対象に、正恩氏の母親・高容姫氏と李夫人の活動を収めた記録映画が上映されたという。

「上映時間は約90分で、そのうち約70分は12年に製作された『偉大な先軍朝鮮のお母様』の復刻版。夫である金正日総書記を『同志』として支え、盛り立てた高夫人の姿に焦点を当てたものです。もちろん、大阪出身の在日朝鮮人帰国者である高夫人の経歴や彼女の名前については、まったく触れていません」(同)

李夫人が登場するのは後半15分ほどで、「今日においては尊敬する李雪主女史によって、チュチェ(主体)の革命偉業の代が強固に引き継がれている」との解説が加えられていたという。

「正恩氏は、李夫人の権威を自らの権威と不可分のものとし、極端な手法を駆使して守ってきた経緯がある。李夫人は16年にも、9カ月間にわたって姿を消しましたが、その理由は妊娠と出産でした。今回も9カ月であることを勘案すると、同様の事情かもしれません」(前出・ジャーナリスト)

現在、北朝鮮も深刻な新型コロナ禍にあることから、李夫人が公式の場に出るのを控えているという説、金正日総書記の妹で、重病とされる金敬姫氏(粛清された張成沢元党行政部長の夫人)の看病をしているという説もある。

李夫人自身の健康問題を不安視する向きもあるが、まさか「1号宅」である玄氏への嫉妬に狂って、駄々をこねているわけではないと思うが…。