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自民党総裁選!「凡人・岸田」VS「変人・河野」VS「軍人・高市」

河野太郎
河野太郎 (C)週刊実話Web

憲政史上、第100代の節目の内閣総理大臣を決める自民党総裁選。コロナ感染収束と経済立て直しという難しい日本の舵取りを担うのは一体誰か――。

まず、総裁選に出馬表明した候補者について自民党派閥幹部が解説する。

「常識人でおっとりしている岸田文雄前政調会長は『凡人』、スタンドプレーが目立ち官僚パワハラ発言も取り沙汰される河野太郎ワクチン担当相は『変人』、保守派で超タカ派的発言を連発する高市早苗前総務相は『軍人』と称されている。これら『凡人、変人、軍人』の3人を軸に総裁選は争われる。そして、最終的には岸田と河野の決戦投票に持ち込まれズバリ、岸田総理誕生と読んでいる」

同派閥幹部の「岸田総理誕生」予測の理由をひも解く前に、総裁選の手続きについて簡単に触れておこう。

自民党総裁選は自民党所属の383人の国会議員票と、地方の党員・党友票(議員票と同数)を合わせた766票で争われる。

「1回目の投票で766票の過半数384票を獲得なら即、勝者となる。誰も過半数を超えなければ、1回目の1位と2位の候補者で決戦投票だ。決選投票は国会議員票がメインの計430票で争われるから、決戦投票は国会議員の支持が強い候補が有利」(自民党関係者)

さて、岸田氏が強いとする先の派閥幹部の見解だ。

「カギは派閥の動き。特に96人の議員を擁する最大派閥の細田派が誰に行くか。細田派を実質仕切っているのは、三度目の総理総裁を狙っているとされる安倍晋三前首相。土壇場で細田派内は安倍氏のツルの一声でまとまるはず」

今回、安倍前首相は高市氏支持を打ち出しているだけに、細田派は高市氏支持の流れで岸田氏にとっては逆風となる。

安倍元総理“再々登板”の環境を残すため!?

「それは表向きのポーズ。世論調査では河野氏が国民人気トップ(次の首相にふさわしい人、河野31.9% 石破茂26.6%、岸田18.8%=9月5日、共同通信)だが、安倍氏は『河野総理』誕生を何としても阻止したいのです」(同)

安倍前首相が河野総理阻止に走る理由の1つは、政治思想が対極にあるからだ。例えば、原発問題。安倍前首相は原発推進派なのに対し、河野氏は過去に何度も「脱原発」を口にしてきた反原発論者。

「また、安倍氏は天皇の皇位継承は『男系(父系)』という原則を取るのに対し、河野氏は女系天皇容認論をたびたび唱えた。総裁レースでは脱原発、女系天皇発言を修正しているが、根本的な考えは変わっていない。さらに、河野氏は安倍内閣の防衛相時、安倍氏がトランプ米大統領と決めた弾道ミサイル防御システム配備にストップをかけ、メンツを潰している」(同)

2つ目。58歳の河野氏が総理なら世代交代が一気に進み、安倍再々登板の道が閉ざされてしまう。安倍前首相と行動を共にし、河野氏が所属する麻生派会長の麻生太郎副総理兼財務相の立場にしても同様。

「安倍氏67歳、麻生氏81歳。岸田氏は64歳。安倍氏は総理在任中に二階俊博幹事長を交代させ、岸田氏に幹事長職を任せようとした。今回は、自身が総理再々登板する環境を残すため、岸田氏を繋ぎにすることがベストだ。安倍氏は河野対岸田の決戦投票を想定したうえで、高市氏を擁立した。自民党支持層に3割はいるとされる岩盤保守層を固め、流れが河野氏に傾くのを阻止する狙いです」(同)

麻生派(53人)は河野氏でまとまるのか。

「派閥全体では河野氏を推さない。派内で『変人』扱いされる河野氏へのアレルギーは強い。麻生派大番頭の甘利明・税制調査会長は岸田支持を打ち出したほど」(同)

1998年の総裁選では“凡人”が勝ったが…

ここで冒頭の派閥幹部が最も注目しているのは財界の動きだという。

「財界、金融、霞が関ともダントツで岸田氏推し。理由は岸田氏が5年にわたり外務相、また自民党政調会長を務めるなど政権運営を託せる人物として評価が高いからだ。欧米、中国と渡り合い日本経済の立て直しが期待できるなど安定感もある。河野氏は一般国民や若者にはツイッターなどで人気があるが、コロナにはロックダウンで対処する発言などスタンドプレーが危うい。岸田氏の安定さが地方にも浸透し、地方の党員・党友票で岸田支持が伸びつつある」

安倍前首相らが恐れるのは、河野氏が地方に強い石破氏とタッグを組むこと。

「自民党には総裁選最新極秘データがあるそうだ。石破・河野連携の場合、地方票で全体の7割を押さえる。石破・河野連合は議員票で35%を得票すれば、1回目で河野氏が過半数をクリアするという仰天データと聞いている」(政治担当記者)

問題は河野氏が国会議員票で35%、140票前後を獲得できるかだ。議員に不人気の石破氏と変人の河野氏が組んだとしても、議員票で100票超えは至難の技。

「細田派で福田康夫元首相の長男・福田達夫氏が代表世話人の脱派閥の若手議員の会『党風一新の会』(90人)を立ち上げた。河野氏には追い風」(河野支持議員)

「〝福田会〟は所詮、選挙に弱い烏合の衆。最後は崩れる。今は態度不明の他派閥が岸田氏に向かえば雪崩を打つ」(前出・派閥幹部)

1998年の自民党総裁選では、田中真紀子氏が評した「凡人・軍人・変人」のうち、凡人・小渕恵三元首相が勝利した。

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