社会

コロナ変異種『ミュー株』がもたらす“第6波”…早くも9月中旬に襲来か

(画像) Krakenimages.com / shutterstock

「新型コロナの新規感染者数は8月21日をピークに次第に減少しています。では、これが最後かというとそうではなく、9月中旬以降、間違いなく〝第6波〟が来るはずです。というのも、そのころには大型連休を控えていて、人流が活発になる。さらに総裁選も告示され、ますますその傾向が強まるでしょう」

こう指摘するのは、公衆衛生が専門の医師で作家の外岡立人氏である。

9月3日時点で2回のワクチン接種完了者は47.1%と、全人口の半数近くとなった。気の早い向きはいつ収束するのかと、コロナ明けのレジャーについて計画する人もいるようだが、そう甘くはない。新たな変異株が確認されているのだ。

9月1日、厚生労働省は6月と7月に空港検疫で、新型コロナウイルス感染が判明した女性2人から、変異した『ミュー株』が検出されたことを発表した。同省によると、2人のうち40代女性は、6月26日に成田空港に到着し、アラブ首長国連邦に滞在歴があった。もう1人は50代で、7月5日に羽田空港に到着、英国に滞在歴があった。2人とも無症状だった。

世界保健機関(WHO)は8月30日、変異ウイルスのミュー株を「注目すべき変異株」に指定したばかりだ。

抗体の攻撃から逃れる変異!

「ミュー株は今年1月に、コロンビアで初めて確認され、その後、南米やヨーロッパへ広がった。とりわけ、コロンビア、エクアドルで増加傾向にある。9月2日の時点で、42の国や地域で感染が報告されています。ミュー株は抗体の攻撃から逃れる変異がある」(サイエンスライター)

日本では、コロナ第5波のピークアウトの兆候が見られるものの、重症者は過去最高を更新し続けている。自宅待機の中等症患者が突如として重症化し、そのまま帰らぬ人となったケースも…。東京都では自宅療養者が約2万人に達する深刻な事態に陥っている。

「新型コロナに感染した親子3人全員が自宅療養中に、40代の母親が死亡する痛ましいケースもありました。それもこれも東京オリンピックを開催したことによって、人流が活発になったことに原因がある。災害死のようなものです」(同)

とはいえ、一条の光がないわけではない。

「変異株も手強いが、科学も進化している。中国では、筋肉注射用として開発されたワクチンをネブライザー(吸入器)を用いて投与したところ、筋肉注射と同様の抗体反応が起こり、認容性も高かったそうです。となると、将来、舐めるとゆっくりと溶け出すワクチンが開発されるかもしれません。デルタ株に効果のあるワクチンも、来年春にはできそうです」(外岡氏)

Withコロナは続く。

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