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“中田翔を優遇”で巨人に不協和音!原辰徳監督と中畑清OB会長が怨念バトル

東京ドーム
東京ドーム (C)週刊実話Web

9年ぶりの日本一奪回へ向け、巨人・原辰徳監督が日本ハムから中田翔をトレードで獲得したツケが思わぬ形で回ってきた。OB会長で初代選手会会長の中畑清氏が、出場機会を失った選手たちの救済に乗り出し、今オフの「現役ドラフト」実施に暗躍――。人材の宝庫・巨人が草刈り場に。原監督との〝怨念バトル〟が再々燃!!

8月29日、ようやく首位に躍り出た巨人が、「天王山第1ラウンド」の阪神との甲子園対決で負け越し、あっさり落城。「〝1人〟が来たことによって、チームの雰囲気が一変した。やる気が失せる」と、ベンチ内で不協和音が渦巻いている。

会長の中畑清氏や広岡達朗氏など、OB連中がこう危惧するのが、チーム内の競争が損なわれたことによる士気の低下だ。原辰徳監督が調子の上がらない中田翔を「5番・ファースト」でスタメン起用し続けてきたことによって起きた副反応だ。

これまでチームを牽引してきたZ・ウィーラー、中島宏之が一塁から弾き飛ばされ、玉突きで若林晃弘、重信慎之介、石川慎吾といった一軍半の若手や、巨人に移籍してレギュラーを狙う廣岡大志、立岡宗一郎、香月一也、さらには怪我で二軍調整中の梶谷隆幸などの出番を阻む形になっているからだ。

そこで労組プロ野球選手会の初代会長でもある中畑氏が、選手たちの不満を吸収するべく力を注ぐのが、出場機会に恵まれない選手の公式な救済制度だ。移籍活性化を目的とした現役ドラフト(ブレークスルードラフト)の今オフ実施を企図しているという。

「選手会は9月1日、日本野球機構(NPB)と事務折衝を行い、現役ドラフト実施へ向けた協議を再開しました。現役ドラフトは、昨年8月にほぼ合意に達していましたが、一部の球団が反発し、またコロナ禍とも相まって協議が止まっていたのです。しかし、チーム内の暴力行為で無期限出場停止処分を受けた中田を獲得した巨人のトレードで関心が高まり、労使共同で実施の機運が急加速しているのです」(スポーツ紙記者)

中田を優遇する原巨人への警鐘

従来の「現役ドラフト案」は、各チームが不要選手8人を供出し、必要とされる球団で活躍の場を求めるという内容で、本来の「飼い殺し解消」という趣旨とは乖離していた。そこで、「新たな案」では内容をバージョンアップ。本誌が入手した情報によれば、新たな案は対象選手を球団が選ぶのではなく、高卒入団選手は5年、大卒は3年以上などとした上で、年間の一軍登録日数などの基準を設定。それに達しない選手は自動的に対象となるという。

必要とする球団が手を挙げ、本人が同意すれば移籍が可能となる。それを防ぐには、生え抜きの若手選手を積極的に起用するしかない。言葉を換えれば、中田ばかりを優遇する原巨人への警鐘とも取れる。

「見逃せないのが、中畑氏と原監督の長年のライバル関係、積年の怨念です。それは、あの伝説の伊東キャンプで鍛えられ、師と仰ぐ長嶋茂雄監督(当時)が解任された1980(昭和55)年オフに始まります。後任の藤田元司監督は高校、大学と一貫してスター選手だった原辰徳内野手を4球団競合で1位指名し、引き当てました」(同)

しかし、サードは長嶋巨人では〝ゼッコーチョー男〟「4番・中畑」の指定席だった。藤田トロイカ政権もこれに配慮し、ルーキーの原は「6番・セカンド」で開幕デビューしたが、5月4日の阪神戦で反転。ヒットで出塁した中畑が一塁にいる場面で、原がサードゴロに打ち取られ、中畑はゲッツー封じでスライディング。その際、中畑はセカンドを守る岡田彰布の下敷きになり、左肩を脱臼。長期間の離脱を強いられ、ここから「サード原、セカンド篠塚和典」の黄金シフトが始まった。

復帰した中畑に用意されたのは「ファースト」。前年まで、そこは王貞治(現ソフトバンク球団会長)の指定席で価値は十分だったが、一本気の性格の中畑は潔しとしなかった。

遺恨の発端となった原監督の不倫騒動

「開幕一塁の松原誠さん(前大洋)をベンチに追いやり、原と正々堂々と三塁争いができなかったことに悔いが残る」と中畑は述懐している。

今季の矢野阪神は、スーパールーキーの佐藤輝明に対し「6番・ライト」で起用しているが、実績のある近本光司と競わせ、チームの好成績につなげている。これが正当と考える中畑氏だけに、原監督との遺恨は根深いものがあるわけだ。

その微妙な関係が決定的になったのが、原監督の女性不倫問題に端を発し、2012年の週刊誌報道で発覚した「1億円事件」スキャンダル。元暴力団員の要求に応じ、原監督が揉み消しに1億円を支払った騒動だが、その際、原監督の電話番号を教えたのは中畑氏とされる。しかし、ここには大きな誤解がある。

当時の事情に詳しい球界関係者がこう話す。

「今だから明かせるが、このスキャンダルは巨人が大阪遠征する際に宿舎にしていた芦屋市内のホテル(当時)でアルバイトをしていた女性と原監督が不倫したことにとどまらなかった。複数の腹心コーチも、この女性と同様のことをしていた内容が日記に残されていたんだ。それが事実なら、巨人軍のダメージは計り知れない。それを原監督の個人問題で収めたのだから、中畑は感謝されることはあっても、恨まれる筋合いは全くない」

今回の「中田トレード」に対する苦言も、公正に「三塁のポジション争い」をさせてもらえなかった40年前の遺恨に行き着く――。ベンチの大勢が中畑氏を支持。原監督の続投にも影を落としている。

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