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幻の部族を訪ねる過酷さ最強の番組ロケ~原田龍二の『不思議な世界』

原田龍二 
原田龍二 (C)週刊実話Web

2001年、『日立 世界ふしぎ発見!』(TBS系)という番組で、タイにいる幻の部族と会う企画で僕に白羽の矢が立ち、現地へ向かいました。

タイの南部・中部・北部にそれぞれいる、3種類の部族に会うというのです。南部は、海の上で暮らす漂海民のモーケン族。中部はジャングルの中に住む、ムラブリ族。彼らは通称「ピートンルアン」と言われていて、意味は〝黄色い葉っぱの精霊〟だそうです。そして北部は、山岳地帯に住むリス族。その3つの部族とそれぞれ会って、彼らと生活する、今思えばむちゃくちゃな企画です。さまざまなロケを体験している僕ですが、20年経った今でも、過酷さでこのロケを超えるものには出会っていません(笑)。ただ過酷故に、一番燃えました。常にフルスロットルで挑みましたし、結果としてはとても楽しかったです。

最初に行ったのは、モーケン族の集落。彼らは「陸地に魔物が住んでいる」と信じているので、陸にはほぼ行きません。たまに食料を入手するために上陸するものの、舟の上にすぐ戻ります。ご飯を炊くのも、食材を煮たり焼いたりするのも、すべて舟上で行うのです。

食料の調達方法は、魚介類はもちろん自分たちで入手できますし、野菜などは物々交換とのこと。彼らは素潜りで魚やなまこを捕るので、それをお米などと交換します。特になまこは、高く売れるのだとか。着ているものは、ボロボロのTシャツなどでした。生活のほとんどを海に潜って過ごすので、洋服はあまり必要ないそうです。

10時間探し回っても出会えないかも…

僕は彼らの住む舟に一泊させてもらいましたが、まぁ眠れません。布団はないし、ずっと揺れていますから。まんじりともせず一晩を過ごし、続いてジャングル地帯に住むムラブリ族のところへ向かいました。

事前に言われたのは、「彼らに会えるかは分かりませんよ」。ムラブリ族に会う方法は、まず彼らに会ったことのあるチョウさんという現地の人を訪ね、チョウさんに先導してもらってジャングル内を探索するのが最善。しかし彼らは常に移動しているので、「ここに行けば絶対に会える」という確証はないとのこと。最初にそう聞いた時は、「会えないんじゃないかな」と思いました。ジャングルのどこかにいる人々を見つけ出すなんて、難関すぎます。

チョウさんに会えた僕は、「ジャングルの中に、ピートンルアンが住んでいると聞きました。会わせていただけますか?」と聞きました。するとチョウさんは「会わせてあげたいけれど、どこにいるかは僕も知らない。最低でも4~5時間は歩かなきゃいけないし、10時間探し回った揚げ句、出会えない可能性だってある」と言います。でも、「じゃあ諦めます」とは言えません。なんとか頼み込み、我々はピートンルアンを探しに、ジャングルへ向かうこととなりましたーー。(つづく)

原田龍二
1970年生まれ。ドラマやバラエティーで活躍する一方、芸能界きってのミステリー好きとして知られ、近著に『ミステリーチェイサー原田龍二の謎のいきものUMA大図鑑』がある。現在、『バラいろダンディ』(MX)で金曜MCを担当。YouTubeチャンネル『ニンゲンTV』を配信中。

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