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ポスト菅首相が10年前の“ポスト菅直人”と酷似…キーワードは「バカヤロウ」

自由民主党ビル
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9月29日に投開票を控える自民党総裁選へ向け、約1カ月にわたるメディアジャックが始まった。17日の告示を前に、立候補を巡る報道は日々過熱している。

ほとんどの派閥が〝菅支持〟を表明して早々に勝負が決した昨年と違い、党員・党友票も加わる今年の総裁選は先行き不透明な情勢。現在、候補者は乱立の様相を呈しており、各派閥が自主投票の形を取るとも報じられるほど混迷を極めている。

今回最も早く手を挙げたのは、数年前から〝ポスト安倍〟と目されていた岸田文雄氏。現在、積極的なメディア露出で存在感をアピールしているが、一方で関係者の評価はさっぱりだ。

「岸田氏はケンカを知らない〝公家〟であり、怨念うごめく総裁選をのし上がれるようなタマではない。現に、党内の反二階派を味方につけようとした役員任期の件では、二階俊博幹事長に〝退任容認〟という先手を打たれ、見事に争点を外された。前回の総裁選でも〝安倍禅譲〟の盟約を真に受け、結局ハシゴを外されみっともなく落ちている。影が薄く党員人気も低いので、今回も雲行きは怪しいのでは」(永田町関係者)

岸田氏と並び、かねて総裁候補と言われてきたのが石破茂氏。しかし、こちらは候補者としてではなく、支援者として鍵を握ることになりそうだ。

「今回、石破氏は立候補を見送り、自派閥で河野太郎ワクチン相を支援する意向だと伝えられています。河野氏はワクチン問題でさまざまなつまずきを見せながらも、各種調査の期待値は高く、今回の最有力候補とも目されている。両者はともに党員人気が高いため、タッグを組めば〝小泉フィーバー〟のような旋風を起こすことも夢ではありません」(フリージャーナリスト)

しかしながら、ここには河野氏が属する麻生派の領袖・麻生太郎副総理が立ちはだかる。

有力議員の頭文字を取って表すと…

「本来ならば自派閥の河野氏一択ですが、先日の会談で『賛成もしないけど反対もしない』と言葉を濁すなど、麻生氏は河野氏の支援に消極的。この裏には、いまだ政界引退をする気がない麻生氏にとって、派閥の代替わりにつながる河野氏の支援はできないというジレンマがあるようです。その麻生派ですが、〝河野支持〟の中堅・若手と〝岸田支持〟のベテランで割れており、麻生氏の〝天の声〟で意思統一がなされれば、その候補は一気に有利に躍り出ます」(同・ジャーナリスト)

もう1人の総裁候補が、女性初の総理大臣を目指す高市早苗氏。しかしこちらに関しては、同じく女性初の総理を目指す野田聖子幹事長代行が一歩リードのようだ。

「最大派閥・細田派に影響力を持つ安倍晋三前総理は、思想の近い高市氏の支持を早々に表明。しかし、あまりに右寄りなためか、高市氏は各世論調査で泡沫候補どまり。これでは来月に控える選挙の〝顔〟にならないと、党内の支持もまとまっていません。同じ女性議員なら、出馬を模索している野田聖子氏の方がまだ可能性は高いでしょう。彼女は党内随一のキングメーカー・二階幹事長から〝後継候補〟として幹事長代行に据えられた秘蔵っ子。二階氏が推すと決めれば、〝女性初総理〟のインパクトも手伝って票が見込めるでしょう」(政治アナリスト)

総裁選といえば「安竹宮」「YKK」「麻垣康三」など、有力議員の頭文字を取って表すのが定番だ。今回のキーマンたちをこの法則で表すと…。

「2011年、時の菅直人首相辞任に伴う民主党代表選において、当時の3名の候補者、馬淵澄夫氏、鹿野道彦氏、野田佳彦氏と最大派閥を束ねる小沢一郎氏の名前を取り、『ポスト菅は馬鹿野郎』と名付けたスポーツ紙がありました。奇しくも、今回の総裁選でカギを握るのも、石〝破〟&〝河〟野、〝野〟田、麻生太〝郎〟の『破河野郎』。ポスト菅(かん)が「バカヤロウ」なら、ポスト菅(すが)も『バカヤロウ』というわけです」(同・アナリスト)

運命の29日、新総裁に選出されるのは一体誰か。

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