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六代目山口組“血の抗争”次なる終結戦略と神戸山口組井上組長の胸中

分裂から丸6年を迎え、依然として抗争状態にある六代目山口組(司忍組長)と神戸山口組(井上邦雄組長)の間に、終結の糸口は見えていない。その一方で、六代目サイドの通達が業界内で憶測を呼んでいる。

「8月29日に『五代目山健組への組員引き抜き、トラブルは厳禁』いう通達が出たんや。けど、これで3回目やないか? 昨年7月に神戸側から脱退したときと、今年7月に五代目山健組傘下組織から移籍の噂があったときや。今回は何の意図があっての通達なんかと思うたで」(ベテラン記者)

業界内では、この通達の数日前、六代目山口組と五代目山健組双方の最高幹部が、秘密裏に接触を図ったという噂が流れたのだ。

「それを聞いて真っ先に思うたんは、六代目側への復帰が近い、いうことやった。詳細は漏れ聞こえてこんでも、その直後に改めて禁止令を出しとるからな。けど、勾留中の中田浩司組長は、五代目山健組として一本でやっていく覚悟を伝えとるから、通達はそのままの意味で受け取ってええんちゃうか」(関西の組織関係者)

五代目山健組の神戸山口組からの脱退は、三代目弘道会(竹内照明会長=愛知)系組員への銃撃事件によって実行犯として起訴された中田組長が、拘置所から表明したといわれる。神戸側に残留した直系組長らには絶縁処分などが出されたが、それも中田組長の最終決定あってのことだった。

その現場不在を埋めるため、ナンバー2の西川良男若頭が精力的に動いていたが、今年6月、新型コロナウイルス感染が原因で死去。組織内に統率の乱れが生じる可能性もあり、警察当局も注視していたのだ。

「結束は固く、その後に離脱や六代目山口組に戻る組織は出んかった。六代目側は五代目山健組を敵対視しとらんから、切り崩しで火種ができたり、揉め事を起こすんは得策やないと思うとるんやろ。むしろ、名門の山健組として固まっとってもらわないかんはずやで」(同)

六代目山口組は、神戸山口組に対しては厳しい姿勢を続けており、8月5日に神戸側・山健組の與則和若頭が銃撃された事件を受け、緊張が高まっている。実行犯はいまだ逮捕されていないが、與若頭への襲撃は二度目であり、警察当局も六代目側に疑いの目を向けているという。

六代目山口組の最終目標は菱の統合

「古川恵一幹部も六代目系組員に工具などで殴打される被害に遭って、その約1年半後には六代目傘下の元組員に射殺されたんや。さらに、昨年には古川幹部から跡目を継いどった仲村石松・三代目古川組組長(兵庫尼崎)も銃撃されとる。3つの事件は実行犯の組員の所属もバラバラやったが、尼崎を落とすいう共通の目的が感じられたんや」(前出・ベテラン記者)

六代目山口組の最終目標は菱の統合であり、対立関係にある神戸山口組はもちろん、独立組織となった五代目山健組、池田組(池田孝志組長=岡山)なども、その範疇のようだ。

「神戸側に対しては武力行使を続けることが予想され、井上組長をはじめ寺岡修若頭(俠友会会長=兵庫淡路)たちは守りを固めているはずだ。以前に『我々は終生、六代目山口組に戻ることはない』と宣言した通り、組織の規模は抜きに存続すること自体に、意味があるという考えなのかもしれない。

まだまだ終結には時間が掛かるとみられるため、六代目側は並行して五代目山健組などに、帰参をうながし始めているのではないか。それが実現したとき、自分たちにこそ大義があると誇示できるからだ」(業界ジャーナリスト)

6年前の8月27日、離脱した直系組長らはひそかに井上組長をトップとする盃を交わした。六代目山口組では緊急執行部会を開いて事態の把握を行い、数日後には定例会を開催。一方の神戸山口組は9月5日に初会合を開き、その後、離脱の要因を含めて声明文を出した。素早い動きに警察当局は翻弄され、他団体にも多大な影響をもたらした。

しかし、抗争によって神戸側から死者が相次ぎ、離脱や引退する直系組長が続出。分裂抗争の戦局は様変わりしたのである。

「中核組織の五代目山健組が脱退したことで、神戸側の戦力は大きく変化したといえる。だが、井上組長の方針に変わりはない。『最後まで戦う』とは、たとえ一人になっても神戸山口組の旗は降ろさないという意味だ。だからこそ、六代目山口組による攻撃にも耐え続けているのだろう。

六代目側の〝指揮官〟である髙山清司若頭は、山一抗争時の終結と同様の展開を描いている可能性がある。すべては司六代目のためであり、髙山若頭も慎重に事を運びながら機を見ているように思う」(同)

平成から続く分裂劇は、新たな展開を迎えるのか。

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