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蝶野正洋『黒の履歴書』~オンラインサロンはシニア世代に向いている

蝶野正洋
蝶野正洋 (C)週刊実話Web

プロ野球の日本ハムファイターズに所属していた中田翔選手が、巨人に移籍した。

8月11日、中田選手は後輩に対する暴力行為が発覚して無期限出場停止処分となり、その9日後の20日に巨人への電撃移籍を発表。その2日後の22日にはスタメン出場して、移籍後初の本塁打を放った。事件から移籍まで、あまりに目まぐるしい展開で「出場停止はどうなったの?」と思った人も多かっただろう。

何より事の発端となった暴力行為について、あまり検証されなかったのも問題だよ。同じ球団の先輩と後輩の出来事で、「中田選手は面倒見のよい親分肌のキャラクターだから思わず手が出ただけ」、みたいな声もある。プロ野球界でいまだそんなことが行われていることに、俺は驚いたね。

30年前ならまだしも、いまどきプロレス界だって後輩を理不尽に殴るようなやつはいない。いくら縦社会といえども、手を出したら一発アウト。中田選手の世代なら、そんなことは分かっているはずだし、そういう社会の空気で育ってきているはず。だから、これは昭和生まれの先輩たちが中田選手によくない影響を与えたんじゃないかと思う。

球界の古株連中に「後輩には軽く喰らわせるぐらいの関係がいい」と思っている人がいて、中田選手もそのムードに引っ張られたのかもしれない。昭和世代のプロ野球ファンの中にも「手が出たとしても、コミュニケーションの一環」くらいに考えている人が多いと思うしね。

あと、球界OBの張本勲さんが、女子ボクシングについて「嫁入り前のお嬢ちゃんが顔を殴り合ってね。こんな競技好きな人がいるんだ」と、テレビ番組で発言して炎上した。張本さんは差別意識なく発言したことだろうし、謝罪もしている。ただ、それを聞いて「そうだそうだ」と違和感なく受け止めた昭和世代のオジサンも、たくさんいたと思うんだよ。

生きてきた環境も価値観も違いすぎる

だいたい、日本人ってひとくくりにするけど、常識や考え方が世代によって大きく違う。そこで80歳を超えたじいさんの発言を、現在の社会の基準に当てはめて判断するのは、ちょっとかわいそうな気もする。

だから、張本さんの発言を20代から50代までの現役世代が言ってたら、叩かれてもしょうがない。だけど、シニア世代に対しては、手加減してあげてほしい。やっぱり、生きてきた環境も価値観も違いすぎるから、今さら「考え方を正せ」と言っても難しいんだよ。

だから、どこかでじいさんたちが忖度しないで発言できるような、専門のメディアがあるといいよね。そこでなら言いたい放題だし、聞いているほうもじいさん限定だから、怒る人もほとんどいない。

会員制のオンラインサロンが若い世代の間ではやっているけど、意外とシニア世代のほうが向いているのかもね。70代以上限定のオンラインサロンとか、面白そうじゃない(笑)。

実は俺も近々、オンラインサロンを開設しようと思っている。まぁ、俺はテレビでも雑誌でも本音でしか喋らないから、暴走してヤバいことを言うってこともないと思う。ただ、会員制ならではの濃い話やピンポイントな企画ができると思うから、興味がある人はぜひ参加してみてくれよ。

蝶野正洋
1963年シアトル生まれ。1984年に新日本プロレスに入団。トップレスラーとして活躍し、2010年に退団。現在はリング以外にもテレビ、イベントなど、多方面で活躍。『ガキの使い大晦日スペシャル』では欠かせない存在。

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