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楽天がメッシ退団のFCバルセロナから撤退! 浮いた金で新国立競技場買収へ

(画像) Iurii Stepanov / Iurii Stepanov

楽天がスペインリーグのFCバルセロナから撤収し、新国立競技場への進出準備を進めている。

新国立競技場は24億円の年間維持費がネックとなってこれまで借り手が見つからなかったが、三木谷浩史会長が42億円のバルセロナマネーを活用し、J1・ヴィッセル神戸の本拠地移転に舵を切る!

プロ野球・東北楽天ゴールデンイーグルスとJリーグ・ヴィッセル神戸のオーナーを務める楽天の三木谷浩史会長が、超特大のニンジンを掲げ、双方のチームに優勝の厳命を突きつけている。ニンジンの原資は、現在、サッカー・スペインリーグの名門、FCバルセロナに費やしている3000万ユーロ(約42億円)のスポンサーマネーだ。

楽天は2017年に結んだ4年間のスポンサー契約が昨年で満了し、それまで年間62億円だった金額を減額して1シーズン延長していた。しかし、三木谷会長は世界的に新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからない状況に加え、バルセロナの看板選手、リオネル・メッシがフランスリーグのパリ・サンジェルマンに移籍したことなどから、バルセロナ撤収の方針を固めているという。

「三木谷会長は浮いた資金をプロ野球とJリーグの来季予算に振り分け、新規参入したモバイル事業を後押しする考えです。しかし、均等にとは考えておらず、双方を競わせ、どちらかに資金を集中させる方針。現在、プロ野球の東北楽天、サッカーの神戸とも上位につけていて、戦い方次第で優勝も可能です。楽天グループには何がなんでもどちらかに優勝してもらわねばならない、お家の事情があるのです」(大手広告代理店幹部)

「お家の事情」とは、東京オリンピックのメインスタジアムとして建設された新国立競技場進出だ。実はここに、バルセロナ撤収の意図が秘められている。

ヴィッセル神戸を世界的なクラブに育てたい

文部科学省が所轄する日本スポーツ振興センターは、民間に新国立競技場の運営権を売却し、国費の負担を軽減する方針を決めている。収容人数が6万8000人と巨大なことから、借り手は限られる。そこで政府は資金力のある東京ガス(FC東京)とメルカリ(鹿島アントラーズ)、楽天(ヴィッセル神戸)に対し、Jリーグの本拠地移転を打診していた。しかし、コロナ禍でイベント開催が見通せないことと年間24億円の維持コストがネックとなり、色よい回答はどこからも得られていなかった。

が、ここに来て「ホワイトナイト(白馬の騎士)」が出現。逡巡していた三木谷会長が「どこも公募に応じないのなら、楽天が名乗りを上げる」と、政府関係者に漏らしているのだ。

大物国会議員秘書がこう話す。

「自民党は1569億円をかけて建設した東京五輪のメインスタジアムが不良物件になれば、総選挙に影響すると危惧している。それを見越して真っ先に借り受ける意思を示したのではないか。政府に恩を売ることで新たな電波割り当ての際に追い風となり、株主の理解は得られる。あとは本拠地移転についてのJリーグとの協議だが、政府は〝ヴィッセル東京〟を全面的に応援する」

「Jリーグは世界のトップリーグになれる」との信念を持っている三木谷会長。ヴィッセル神戸を世界的なクラブに育て、特別枠でのUEFAチャンピオンズリーグや欧州スーパーリーグ(欧州各国のビッグクラブによる新リーグ)への特別参加を目指しているという。

それには世界的なスタジアムが必要。都心の一等地にある新国立競技場への本拠地移転は願ったり叶ったり。千載一遇の好機と受け止めているのだ。

田中将大の獲得で“言い訳”できない石井監督

「三木谷氏個人は欧州サッカーに前のめりだが、日本と欧州との移動には選手の体に与える負荷が大きく現実的ではない。そのため、グループ内にはその費用をプロ野球強化に回した方が費用対効果が見込めるという意見があり、今季、東北楽天が優勝して神戸が下位に沈めば形成が逆転する可能性はある。いずれにせよ、今季次第で双方のチームの今後の形態、予算は大きく変動する。生き残りをかけた、まさにサバイバル合戦」(スポーツ紙デスク)

胃が痛いのは、東北楽天の石井一久監督だ。チームの総年俸が約42億円(金額は推定、以下同)であるのに対し、神戸は元スペイン代表のアンドレス・イニエスタだけで32億5000万円。1年前なら「同じ土俵で結果を求められても困る」と言い訳できたものの、今季の三木谷オーナーはプロ野球の歴代最高年俸となる9億円で田中将大をヤンキースから呼び戻し、年俸総額では東北楽天が神戸を上回る。

一方、J1の上位争いを続ける三浦淳寛監督率いる神戸は、今夏の大型補強でドイツ・ブレーメンから日本代表FWの大迫勇也を年俸4億円で、イングランドのニューカッスル・ユナイテッドから元日本代表FWの武藤嘉紀を同2億円で獲得しただけでなく、さらにイエニスタの推薦で元スペイン代表FWボージャン・クルキッチを完全移籍で加えた。それも、イエニスタの年俸を12億円ほど削って20億円にすることを容認させてまで補強費を捻出している。

スポーツ界の興味は、J1神戸の方に大きく傾いており、ここからどのように失地回復していくのか…。石井監督の手腕が注目される。

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