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『子マス(ニジマス)』兵庫県/有馬温泉産~日本全国☆釣り行脚

『子マス(ニジマス)』兵庫県/有馬温泉産~日本全国☆釣り行脚
日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

本誌の発売される頃は夏休みも終わり、新学期がスタートしている頃合いですが、コレを書いている今はまだ夏休みも終盤。ワタクシが子どもの時分には宿題やら自由研究やら、全く手を付けていなかったことを後悔しつつ追い込みをかけていた時期でもあります。

夏休み期間中はどこもそれなりに混雑しますし、「釣りは世の夏休み期間が終わって静かになってから、のんびりと…」などと考えているところに、釣り仲間の少年から誘いがかかりました。「日中は暑いし、どこも混むから…」と渋ってはみたものの、「朝イチの涼しいうちに、サクッと釣れて飲めるいいトコがあるよ。しかも、手ぶらで大丈夫っ!」と押し切られ、釣行決定となりました。

翌日早朝、携帯電話のアラームよりも早く着信があり、電話に出ると「ちゃんと起きてるかぁ~?」の声。おかげさまで寝坊をすることもなく、早朝の阪神電車に乗ることができました。途中の三宮(神戸市)で少年と合流し、言われるがままに地下鉄に乗り換え。車内で宿題をこなす少年のプリントを横目で見ると、〝夏休みチャレンジ〟の項目には汚い字で『①つり②ふろ③ねる』と書いてあります。何がチャレンジなのかよく分かりませんが、自分の人生ではないのでソッとしておくことにしました。

アタリは多くほどよく釣れる

しばし地下鉄に揺られ、谷上駅で神戸電鉄に乗り換えて着いた先は〝関西の奥座敷〟とも言われる有馬温泉です。改札口を抜けると足元の地面に大きく「ます釣り」と案内が書かれており、「コレに行くのか」と納得。駅を出て綺麗に整地された川沿いの温泉街を歩くと、まだ朝の9時とあって人気温泉街に人影はまばらです。個人的には、この目の前の川が非常に気になりますが、手ぶらで大丈夫とのことで道具もエサも持って来ておらず、「近いうちに来よう…」などと思いながら少年の後を付いて歩きます。

由緒ある高級宿が建ち並ぶ急な坂道をしばらく歩くと〝有馬ます池〟の看板が見えて来ました。聞けば1950年開園と70年余の歴史がある有馬温泉の名物スポットとのことで、受付に行くと夏休みとあってか開園直後にもかかわらず、すでに家族連れで賑わっております。

〝子ます釣り〟の受付を済ませ竿とエサ、そして番号札をもらって番号の場所へ。なるほど、これなら混雑しても一定の距離を保ってのんびりやれますな。「な? いいだろ?」と得意顔の少年とともに指定の場所から池を覗くと、澄んだ水の中には沢山の魚影が…。

『子マス(ニジマス)』兵庫県/有馬温泉産~日本全国☆釣り行脚
日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

早速エサを付けて仕掛けを入れるとすぐにウキが沈んで1尾目、と思いきや空中でハリが外れてしまいました。短い竹竿は意外に硬く、アワセが利きづらいというか掛かっても弾いてしまうようです。でも、これがまた面白いのかもしれません。なにせ、仕掛けを入れれば子マスがエサに突進するさまが見てとれるほどの活性ですから、すぐに釣れたのでは面白みに欠けますし。

絶妙な大きさから揚げ旨し!

この辺の案配は、さすが老舗のますつり場といったところでしょうか。周りの家族連れからも「釣れた~、あ! 外れた!」などの楽しげな声が聞こえるなか、こちらも楽しみつつ食べるには十分な量を確保。「こういうのは、ちょっと物足りないぐらいがええんよ」という少年の声に促されて竿を返却し、隣接する〝ますの茶屋〟へ向かいます。

『子マス(ニジマス)』兵庫県/有馬温泉産~日本全国☆釣り行脚
日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

〝ますの茶屋〟で、お兄さんに釣った魚を渡して待つことしばし、ほどなくから揚げとなって出てまいりました。時節柄アルコールの販売がないのは少々残念ですが、暑いなか坂道を歩いたこともあってキンキンに冷えたノンアルコールビールの旨いことといったらありません。そして揚げたての子マスをパクリ。うん! こちらも旨い! 20センチほどのニジマスの子どもゆえ、釣っていた時は物足りない大きさに感じられたものの、から揚げで食べるとなれば、むしろこのくらいの大きさの方が骨も全く当たらず、スナック感覚で頭からイケます。

『子マス(ニジマス)』兵庫県/有馬温泉産~日本全国☆釣り行脚
日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

釣り場の特性上、女性や子どもも多いでしょうし、この〝骨が全く当たらない大きさ〟というのは結構重要なことなのかもしれません。魚(アタリ)の多さ、ほどよい釣れ具合、ほどよい大きさ…実はすべてが長年のなかで考え尽くされたノウハウなのかも、などと感じた有馬ます池。創業70年の有馬名物スポットはダテじゃありませんな、などと思いつつ帰路に就いたのでありました。それにしても駅前の川は気になる…。

三橋雅彦(みつはしまさひこ)
子供のころから釣り好きで〝釣り一筋〟の青春時代を過ごす。当然のごとく魚関係の仕事に就き、海釣り専門誌の常連筆者も務めたほどの釣りisマイライフな人。好色。

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