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大谷翔平「MVPとサイ・ヤング賞」前代未聞のダブル獲得へ完全武装!

(画像) Sergey Furtaev / shutterstock

〝生きた伝説〟となりつつあるエンゼルスの大谷翔平。

すでにア・リーグMVPの有力候補に挙げられていたが、8月に入って投手として好投を続けたことで、あの「サイ・ヤング賞」候補にも浮上してきた。バッター部門の誇りとも言える「MVP」、そして、投手部門の最高栄誉である「サイ・ヤング賞」。ダブル受賞となれば、〝究極の二刀流〟完成となる。

「大谷はア・リーグ本塁打王のタイトル獲得に向けてバク進中で、打点王のタイトルも射程圏に入れています。バットマン・タイトルを獲得した選手がサイ・ヤング賞に選ばれたら、前代未聞の歴史的快挙です」(スポーツライター・飯山満氏)

日米の野球ファンは「歴史の目撃者」になるわけだ。

日本時間8月28日、MLBサイトは、今季何度目かの大谷特集を組んだ。今回、着目されたのは、「WAR」。これは、その選手の勝利への貢献度を示す指標であり、前々日の試合終了時点で、大谷は投打を合わせて「8.0」というメジャートップ数値を弾き出していた。

「公式サイトが強調していたのは、2位の選手に『2.2』もの大差を付けていた点です。1位と2位の差がこれほど開いたのは1947年以降で六度しかなく、このままシーズンが終了すれば、21世紀初になると伝えています」(米国在住記者)

同サイトは最後に《今季の大谷が過去最高か否か。間違いなく、その議論をさせる》と記していた。伝説のスター選手との対比、それを塗り替えていく活躍。「過去」と「未来」が交錯しているようだ。

また、WARの指標を使った特集を指して、こんな声も聞かれた。

「近年のMVPには『投手以外から選出するべき』という考え方が浸透しています。本塁打、打点、打率の打者3部門タイトル以上にWAR、OPS(出塁率+長打率)などのセイバーメトリクスが投票において重要視されています」(同)

オールスター先発投手は“リーグの顔”の証し

大谷は本塁打王のタイトル同様、OPSなどでもブルージェイズのV・ゲレーロJr.らとハイレベルな競争を繰り広げている。しかし、MVP、サイ・ヤング賞は米野球記者の投票によって選出される。

「今年7月のメジャーリーグ・オールスターゲームで、ア・リーグの先発投手を務めたのは大谷でした。オールスターで先発投手を務めるのは『リーグの顔』である証し。投手・大谷がその大役に決まったと発表されたとき、日本メディアからは驚きの声も上がっていました。日本メディアが思っている以上に、大谷はアメリカで評価されているようです」(前出・飯山氏)

そもそも、投手・大谷がサイ・ヤング賞候補にも浮上してきたのは、後半戦に入って調子を上げていることが大きい。大谷は8月29日時点で19試合に登板し8勝1敗、105回を投げて防御率3・00。7月以降は防御率2・20で四死球は4と安定した投球を続けている。

しかし、エンゼルス投手陣は弱体で、チーム防御率4・74はリーグ12位。ジョー・マドン監督がローテーションを託した大谷以外の投手たちは揃って不振で、目も当てられないありさまだ。

「ほかのサイ・ヤング賞候補のピッチャーに比べて登板試合数も投球回数も少ないですが、それでも勝利数、投球回数、奪三振数など大谷はチーム1位。投手としてもチームを活気づける存在です」(現地関係者)

エンゼルスは下位に沈んでおり、ポストシーズン・マッチへの進出も絶望視されている。メジャーではMVP候補者の数値が僅差だった場合、チーム成績で決まった年もあったようだが、大谷がサイ・ヤング賞候補に浮上してきた理由は、後半戦での好投だけが理由ではなかった。

勝ち星以外の存在感で強烈なインパクト

日本の沢村賞が報じられるとき、「日本版サイ・ヤング賞」という言われ方をすることがある。だが、大きく異なる点もある。沢村賞は「先発完投型」が選ばれるが、サイ・ヤング賞はリリーバーも対象となる。

「投手成績も重要ですが、インパクトの強い投手が選ばれます。そのインパクトについて言うと、圧倒的な勝率、勝ち星、リリーバーなら登板試合数の多さも加点ポイントになります」(特派記者)

前述したように、大谷はそもそも投球イニング数が少ないため、投手部門では無冠に終わりそうだ。それでも、投手として160キロを投げて打者として自らを助けていること、登板した翌日に打者として活躍していることなど、勝ち星以外の存在感で強烈なインパクトを与え続けているため、サイ・ヤング賞候補に浮上したようだ。

「マイナス要素があるとすれば、それは二刀流ゆえの弱点です。投手・大谷はDH制を解除して打席にも立ちますが、早いイニングでノックアウトされるとリリーフ投手に打順がまわるたびに代打を送らなければならず、チームは総力戦となります」(前出・飯山氏)

6月30日のヤンキース戦がそうだった。7失点で初回KOとなり、リリーバー7人が登板している。

「今季の大谷はバットをひと回り太いものに替え、練習中は右腕にサポートをし、怪我防止にも配慮しています」(関係者)

些細なことだが、これが今季の武装スタイルである。

投打の頂点へ――。全米をも熱狂させる「オオタニサン」の活躍は、どこまで続くのか。

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