日本の排他的経済水域にある好漁場の大和堆(石川県能登半島沖約300キロメートル)で、中国漁船によるスルメイカとズワイガニの違法操業が急増している。日本海では、数年前から北朝鮮のイカ釣り漁船による違法操業が横行していたが…。
「昨年、北朝鮮漁船による違法操業は、大小併せて4007隻、中国漁船は1115隻でした。中国漁船は北朝鮮漁船と違い、2隻の船が並んで蛇行しながら網を引く『2艘引き』ですから、根こそぎ魚を持っていかれる。違法操業の問題は、日本の漁業者の死活問題にまで発展しています」(漁業関係者)
大和堆周辺を漁場にしている石川県では、昨年、イカの漁獲量が北朝鮮や中国の漁船による違法操業で激減。赤字操業を避けるため、大半の漁船が漁期を残して早々に打ち切った。
「大和堆は日本海中央部に位置する海底山脈。周辺海域は水産資源の宝庫で、排他的経済水域に侵入して操業する外国漁船が後を絶ちません。昨年10月には北朝鮮漁船が水産庁の取締船と衝突し、沈没する事故も発生しています」(漁業情報センター関係者)
北朝鮮漁船に代わって急増した中国漁船による密猟
水産庁によると、経済ひっ迫と新型コロナ感染拡大のせいか、今年になってから9月末まで、北朝鮮漁船への退去警告は1隻(昨年同期2164隻)しかない。
「代わって急増したのが中国漁船で、9月末までの警告は昨年同期比で約4倍の2586隻にのぼっている。中国漁船のイカ、カニ漁は現在も続いています」(漁業ライター)
海上保安庁の巡視船による退去警告も同じ傾向で、毎年1000隻以上の北朝鮮漁船への警告が今年はゼロ。中国漁船への警告は102隻と過去最高を記録した。
退去警告を発令した場合、日本の漁船は安全確保のため、一時的に漁場から移動させられる。
「違法操業でイカやカニをごっそり持っていかれた上、取り締まり中は漁場の外に出されてしまう。漁業関係者は『主権が及ぶ海域で日本の漁船を締め出すのは本末転倒だ』と激怒していますよ」(同)
イタチごっこは続く。
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