『沢村賞』デッドヒート! 中日・大野雄大か巨人・菅野智之か…

開幕13連勝か10完投か?

原・巨人が優勝を決め、セ・リーグは完全に消化試合となる。残る楽しみは個人タイトル争いだ。プロ野球投手にとって最大の栄誉・沢村賞レースに、無視できない情報が流れている…。

「120試合制の今季は、選考基準の全7項目をクリアできそうにありません。となると、インパクトの強い投球をした投手が有利でしょう」(ベテラン記者)

今季の沢村賞は、巨人・菅野智之と中日・大野雄大の一騎打ちと予想されている。

同賞の選考基準は、①登板25試合以上、②完投10試合以上、③15勝以上、④勝率6割以上、⑤200イニング以上、⑥150奪三振以上、⑦防御率2.50以下の7項目。試合数が少ないため、いくつかの項目で基準に満たないと予想される中、NPB史上初の開幕13連勝を樹立した菅野の優勢が伝えられていた。ところが…。

「大野を推す空気が強くなってきた」(球界関係者)

菅野が14勝した10月31日時点で、大野は10勝。だが、完投は「10」で、そのうち6試合で完封したのに対し、菅野は「完投3」なのだ。

「選考委員会は『完投』に美学のようなものを抱いている。投手の分業化が定着した現代だからこそ、価値があると」(同・関係者)

前記録保持者の堀内恒夫氏が大野にエール

同賞選考委員長の堀内恒夫氏が、自身のブログでこんな思いを明かしている。
《何が一番、目に付くかというと、自分の手にボールがついてるね。そしてコントロールがいい。特に変化球なんて自分の好きなところ思うところに投げられているはずだ。素晴らしい!》
これは、大野が無失点のイニング数を45に伸ばした10月22日のピッチングに対する称賛だ。堀内氏は連続無失点44イニングの記録保持者。自らの記録を抜いた大野に、選考委員長自らエールを送ったのだ。

沢村賞とは本来、先発完投型の投手に贈られるもの。2008年のダルビッシュ有、13年の金子弌大(当時は千尋)が全項目をクリアしていたのに選ばれなかったこともあった。つまり、選考委員が厳選な審査をしているのは間違いないが、〝ピッチングの印象〟が影響しているのも事実である。

「昨年の同賞は該当者ナシでした。その前は2年連続で菅野。大野が選ばれれば初。大野は今オフの国内FAでも注目されており、受賞すればさらに価値が高騰するでしょう」(前出の球界関係者)

開幕13連勝と10完投。沢村賞は大野争奪のマネー戦争にも影響しそうだ。