さあ、文字通り「つま先立ち」だ。振り向けば〝千尋の谷〟の崖っぷちから盛り返せるか――。
本来なら福岡市で行われる十一月場所が、新型コロナの影響で舞台を東京・両国国技館に移して、11月8日から始まる。
「新大関・正代の誕生。2場所連続休場していた横綱・白鵬も、先月半ばに相撲教習所で行われた合同稽古に参加して御嶽海や正代らに圧勝するなど、復活優勝に意欲的。優勝争いが白熱するのは必至です」(担当記者)
そんな中、別の意味で注目を集めているのが、もう1人の横綱・鶴竜だ。白鵬の休場の多さが指摘されているが、こちらはそれ以上で、何とこの6場所でフル出場したのは今年の春場所のたった1場所のみ。「負け越しても番付が下がらない」という横綱の特権がなければ、おそらく今ごろは給料が出ない幕下あたりにいるはずだ。
「先々場所は初日に1日出場しただけで、先場所が全休。これでは横綱のお目付け役の横審が〝最後通牒〟をチラつかせるのも当然です」(同・記者)
師匠の陸奥親方(元大関・霧島)も、「次は進退を賭けてやらないといけない。ダメだったら、いろいろ考えなくちゃいけない」とまで発言している。
今のままでは相撲協会に残れない鶴竜
さすがの鶴竜も、自分が置かれている状況をよく理解しているという。
「何を言われても仕方ない状態だから、これを覆すには結果(を出す)しかない」
しかし、肝心な場所前の調整はさっぱりで、合同稽古も不参加だった。持病の腰や右ひじの回復が思わしくないようで、いまだに十分な稽古ができずにいる。
こんな状態で出場すれば自滅必至。途中で休場となれば、いよいよ横審も黙ってはいないだろう。
「引退後、親方として相撲協会に残留するには、日本に帰化しなくてはいけない。ところが、鶴竜はまだ日本国籍を取得していない。いま申請しているようですが、認可が下りるのは来年。そこまでなんとか頑張らないと、親方になる夢を諦めざるを得なくなります」(前出の担当記者)
まさに〝待った〟ナシだ。
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