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ホンダ&トヨタ大激怒!F1日本グランプリ2年連続中止“四輪差別”

(画像) RD_Production / shutterstock

「オリンピック」はYESでもF1はNO!

F1の日本グランプリを中止に追い込んだ政府の決定に、全国の「四輪」ファンが猛反発。エンジン製造者として参戦し、今季限りでのF1撤退を発表しているホンダは現在、11戦中6勝と総合優勝が狙える好位置につけている。トヨタも巻き込み、「日本GP復活案」が浮上した!!

東京五輪の余熱も冷めやらぬ8月18日に急遽、発表された日本GPの中止の決定が、古くからのF1ファンの怒りに火をつけネット上などで炎上している。

新型コロナウイルスの感染拡大で世論の大勢が「五輪開催中止」だったにもかかわらず、政府は「安心、安全だ」と東京オリンピック・パラリンピックを強行開催。ところが、10月8日から三重県の鈴鹿サーキットで行われるF1日本GPには一転して「NO」。見事なまでの手のひら返しに転じたからだ。

政府は、コロナ感染拡大防止を理由にドライバー、チーム関係者などへの入国ビザを発給しないことを決定。主催者のモビリティランド(鈴鹿サーキット)は「日本GPを開催するために設定された期日までに、F1関係者の日本入国が困難になった」と述べ、開催断念を発表した。

スポーツの多様化が進んだ今、F1人気は全盛期にこそ及ばないものの、中高年世代には今なお「ホンダ信奉者」が多い。そんなオヤジたちが五輪と180度違う政府の決定に怒りの声を上げ、政府に再考を求めているのだ。

「モータースポーツファンにはパソコン愛好家が多く、コロナ禍の巣ごもりの中でネット中継でホンダ復活を楽しみにしている。それが2年連続で日本GPが中止になり、怒りを爆発させている。真っ正面から文句を突き付けるオバサン対応には慣れていても、サイレントマジョリティーとも言えるオヤジ族のネットを使った反乱は経験がない。先に行われた横浜市長選で苦杯を喫したこともあり、自民党、政府とも相当神経質になっている」(自民党の代議士秘書)

見所満載だった今年の日本GP

日本のF1人気が絶頂だったバブル期、ホンダはA・セナ、A・プロストを擁して圧倒的な強さを誇った。その後、撤退、復帰を繰り返し、成績の振るわない時期も長くあったが、2019年からレッドブルにパワーユニット(エンジンセット)を提供するようになると、見事に復活。

「今季は16戦中15勝した1988年以来の5連勝を達成するなど、レッドブルは11戦を終えてすでに6勝をマークしました。ハンガリーGPを終えた時点でトップのメルセデスと12点差に迫り、30年ぶりのコンストラクター(製造者)部門優勝も夢ではありません。ドライバー部門でも、エースのM・フェルスタッペンが総合優勝争いを牽引しており、さらに今季から角田裕毅がレッドブルのセカンドチームであるアルファタウリ・ホンダから日本人ドライバーとして7年ぶりに参戦中。今年の日本GPは例年以上に見所満載でした」(モーター誌記者)

これほど、ファンが怒りの声を上げるのは、ホンダが温室効果ガスの排出削減へ向けた技術開発に経営資源を集中するため、今年限りでのF1撤退を発表していることが背景にある。自動車業界はガソリン車から電気自動車(EV)へシフトしており、仮に将来ホンダがF1に復帰したとしても、もう二度と、あのホンダのエキゾーストノートを聴くことはできないのだ。

先の東京五輪では、最高位のスポンサーだったトヨタ自動車が、コロナ禍の五輪開催に疑問を持つ世論の声を尊重して大会期間中のCMを中止。このトヨタの決断を受けて他のスポンサー企業も取りやめ、織り込んでいた大会組織委員会の広告収益が減り、五輪の赤字が拡大した。そのトヨタへの不満が、同じ自動車メーカーのホンダが手がける日本GPの中止方針につながったとの見方もある。

中止から「延期」の再プラン!?

「いや、今回、政府がF1関係者の入国ビザの発給を認めなかったのは、外国人の入国を基本的に禁止しているのに加え、前週にトルコGPが開催され、日程的に隔離期間の確保が難しいと判断したのが大きい。とはいえ、トヨタに続いてホンダが政府に背を向ければ、自民党分裂、政権交代の起爆剤になりかねない。そこで再考の動きが出てきた。それが、日本GPは中止ではなく延期とし、今シーズン最終戦にあらためて組み込むプランだ」(スポーツ紙デスク)

世界的なコロナ感染再拡大を受け、FIA(国際自動車連盟)は今後のF1日程について再調整している。次戦の第12戦ベルギー(8月29日決勝)、オランダ、イタリアGPまでは予定通り行う予定だが、その後のロシア、トルコ、日本、アメリカ、メキシコ、ブラジル、オーストラリア、サウジアラビア、アブダビGPのスケジュールについては日程を見直している。

「F1はスポンサーおよびテレビ局との契約の中で年間20戦以上行う必要がありますが、コロナ禍で開催できない国が今後も相当数出る可能性があります。そこで浮上したのが移動の間隔を設けるために日本GPを最終戦に組み込み、復活させる案です。当然、長年F1に貢献してきたホンダへの感謝の意味も込められています」(大手広告代理店)

一度は消えた「ホンダのラストラン」だが、政府協力の下で日本GP復活の可能性が――。さしもの菅義偉首相も、トヨタに続きホンダまで敵に回しては政権維持は困難という判断か。

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