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中田翔“第2の清原和博”の懸念に指摘「坂本勇人が睨みを利かせているうちは…」

東京ドーム
東京ドーム (C)週刊実話Web

「5番ファースト、中田」

電撃の無償トレードから2日後の8月22日、巨人・中田翔がDeNA戦のスターティングメンバーとしてコールされた。その瞬間、東京ドームはどよめきに包まれ、さらに試合で名刺代わりの1発まで出たが、ファンの胸中には「巨人の中田」に対する違和感も交錯していた。

ヤンチャ、問題児、悪童。実績も十分な他球団の主砲が巨人入りしたとなると、思い出してしまうのは「清原和博氏の失敗」である。

「試合前、長嶋茂雄終身名誉監督の訪問を受け、中田は直立不動で緊張していました。長嶋氏が再起を応援していると分かれば、中田の電撃移籍への批判も当然、変わってきますから」(ベテラン記者)

中田が北海道日本ハムファイターズの同僚選手に暴力行為を行ったのは、8月4日。DeNAとのエキシビションマッチの試合前で、その後、事情聴取が進むにつれ「中田の非」も明らかになり、被害選手の「大ごとにしたくない」との強い要望もあったが、球団は発表に踏み切った。

二軍戦を含めた出場停止処分。川村浩二・球団社長兼オーナー代行は「暴力は許されない」と強い口調で語り、育ての親とも言える栗山英樹監督も、「このチーム(での復帰)は難しいと思っている」と、退団の可能性も示していた。

額面通りに受け止めれば、〝制裁の放出トレード〟だ。この時点で、関係者の多くはこう予想していた。

「暴力絡みのトラブルだとイメージが悪過ぎる。獲得に名乗りを上げる球団はまずないだろう」

しかし、巨人と日本ハムの間では2つのルートにより、トレード移籍の話が進められていたのである。「再起のチャンスを与えてやりたい」という名目で…。

美談の裏の真相とは…

「栗山監督が退団を示唆する発言をしたのが、16日。遠征先のホテル宿舎でしたが、どうもその前に原辰徳監督と電話で話していたようです。トレード後、原監督が語った『(中田の)過去、現在、未来すべてを共有する覚悟』なる言葉は、その電話の中で出たものでした」(球界関係者)

中田を日本ハムの4番に定着させたのは、栗山監督。「野球人生にも責任を取る」という強い覚悟があり、今回の失敗を指して、「これからの中田にも責任を持ちたい」と相談したそうだ。

その思いに原監督も打たれ、中田獲得を決めたようだ。その原監督からの命を受けて、腹心の大塚淳弘・球団副代表が日本ハム側にアポイントを入れた。

「日ハム側も川村球団社長が対応しました。トレードで球団社長が窓口を務めるなんて、異例中の異例です」(同)

川村社長によれば、「中田は本当に反省している」の言葉を繰り返し伝えていたそうだ。そして4日後の8月20日に移籍となったが、おそらく両球団の間で申し合わせがされていたのだろう。中田は「原監督とまだ話をしていない」と会見で語っていたが、そうではなかったのだ。

「直接、話をしたのは、会見後、東京ドームに行ってからですが、メールで連絡を取り合っていました。中田の反省、謝罪の文章を原監督は読んでいます」(同)

ここまで聞くと、中田の巨人入りは美談そのもの。しかし、真相は少し違う。

「中田を一軍登録したのは、21日。代わりに抹消されたのは、売り出し中のスラッガー・北村拓己で、打撃好調の中島宏之もベンチスタートとなりました」(スポーツ紙記者)

8月、新たに契約した右打ち外野手のスコット・ハイネマンも、来日前に〝余剰人員〟となってしまった。

腰に“爆弾”を抱える中田

「近年の日本ハムは『中田のチーム』でした。移籍によってゼロからの再スタートとなるため、精神的疲労もあるでしょう。巨人の露出度の高さ、些細なエラーでも致命的なミスのように扱われる環境に耐えられるのかどうか」(同)

清原氏が巨人に馴染めなかったのは、その「精神的疲労」が原因だった。

「清原氏が巨人にFA移籍した1997年、『3番・松井、4番・清原』の打順となりました。伝統球団の4番という重圧、巨人独特の緊張感が、西武時代の輝きを奪っていきました」(当時を知る取材記者)

松井秀喜氏が清原氏よりも年下だったせいもあるが、中田の場合は少し状況が異なる。現在の巨人の4番は若き主砲・岡本和真で一貫している。不振で一時的に他の打順を打つことはあっても、「4番・中田」は考えにくい。

その意味では巨人の重圧は清原氏の比ではない。だが、こんな指摘もある。

「坂本勇人が1学年先輩になります。菅野智之、小林誠司、丸佳浩らが同級生となり、坂本が睨みを利かせているうちは、中田もヤンチャなことはできないでしょう。ただ、たとえば、大阪桐蔭高校の後輩に当たる投手の横川凱が一軍に定着したら、『中田組』が結成されるかも」(同)

ただ、〝お山の大将〟になり幅を利かすようになると、反省の思いは忘却の彼方…。レギュラー定着も危うい状況になるだろう。

「中田の不振はコロナ禍でストレス発散ができなかったことと、腰痛。こちらの方が心配です。もう一度、体を鍛え直す覚悟がなければ」(前出・球界関係者)

腰痛を解消できなければ、レギュラー定着はない。何よりも「紳士たれ」の球団の重圧に勝てなければ、原監督だけではなく、栗山監督も泣かせることになる。

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