社会

北朝鮮の国内情勢は悪化の一途…女帝・金与正“つれない”着信拒否

(画像)Tatohra / shutterstock

昨年6月に断絶した南北両政府の「通信ホットライン」が、去る7月27日、電撃的に復旧した。

韓国の文在寅政権は北朝鮮との対話を熱望していただけに、四度目となる南北首脳会談の実現も視野に入ったと安堵したが、それから2週間後の8月10日、またもや音信不通に陥った。

「同日、米韓軍事演習の事前訓練が、予定通りスタートしたことへの不満の表れでしょう。金正恩総書記の実妹・金与正副部長は8月1日、『演習を強行すれば、信頼回復の一歩を再び踏み出したいという両国首脳同士の意志を深く傷つけ、南北関係の前途をさらに曇らせることになるだろう』とけん制していた。女王様から一方的に回線遮断というムチを食らい、つながったと思ったら着信拒否されたことで、青瓦台(韓国大統領府)は青ざめています」(韓国在住のジャーナリスト)

与正氏が警告を発すると、韓国政府と与党は先を争って演習の縮小や延期を主張した。実際、韓国軍当局は演習の規模を大幅に縮小したが、それでも北朝鮮は韓国を激しく非難し、南北関係の復活に通じる扉を再び閉じてしまったわけだ。

実は、こうした与正氏の強硬策の裏には、米韓軍事演習以上の深い懸念が潜んでいるという。

地中貫通爆弾に冷や冷や…

「国家情報院(韓国の情報機関)の捜査により、北朝鮮が韓国国内のスパイ組織に『米軍の最新鋭ステルス戦闘機F-35Aの導入に反対する市民運動を展開せよ』との指令を下していた事実が発覚したのです。与正氏は談話で米国の戦略資産の撤収に言及しており、北朝鮮が米軍の戦略部隊について、極めて深刻な脅威として受け止めていることを再確認させました」(日本の軍事ライター)

米国の戦略資産とは、すなわち正恩氏をターゲットとする「斬首作戦」の決行部隊である。

具体的には、ステルス戦闘機F-22「ラプター」やステルス戦略爆撃機B-2を筆頭に、大型の強襲揚陸艦に搭載されるステルス垂直離着陸機F-35B、空母機動部隊、原子力潜水艦などが挙げられる。

与正氏は米軍の特殊部隊が、正恩氏の潜む地下の秘密邸宅に超大型バンカーバスター(地中貫通爆弾)を打ち込むのではないかと、冷や冷やしているのだ。

一方、北朝鮮の国内情勢は、庶民生活が綱渡り状態になって久しい。新型コロナウイルスの感染拡大を理由として、東京五輪に参加しなかった北朝鮮だが、閉幕2日後の8月10日になってサッカー女子1次リーグの英国対チリ戦、11日には同種目のブラジル対中国戦を録画放送している。

国民の不満を少しでもガス抜きしようという魂胆か。

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