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工藤会(五代目工藤會)野村悟総裁に死刑判決!2019年本誌独占掲載の「獄中手記」④自分の逮捕の記事を逮捕直前に読む

組合長が射殺された漁協のある港 (C)週刊実話 無断転載禁止

平成26年9月11日の朝、5時ごろに届いた西日本新聞の朝刊を開くと、《工藤会最高幹部立件へ 福岡県警 98年殺人 関与の疑い》という見出しがデカデカと出ていた。

98年の殺人? なんのことだか、まったくわからなかった。この時は西暦2014年。ずいぶんと昔のことである。そもそも自分の逮捕の記事を逮捕直前に本人が読むなんて、SF映画のようだ。

そうこうしているうちに、家の上をたくさんのヘリコプターが旋回する音も聞こえてきた。

「総裁、ここはいったん身をかわしましょう」と言い出す者はいるし、若い者たちはオロオロするしで、大騒ぎになってしまった。

そうは言っても来るものはしかたないし、どうせ撮影されるのだから着替えておくか…くらいに考えていると、ドアチャイムが鳴った。

警察官に取り囲まれ、捜査令状を読み上げられても、やはりピンとこない。元漁協組合長の射殺だと言われ、これについては朝刊にも《工藤会系組幹部3人が実行犯として殺人罪などで起訴され、1人は一審で無罪、2人は2008年に最高裁で無期懲役などの実刑が確定した》と書かれていた。つまり終わった事件なのだが、私が射殺を指示したという殺人罪と銃刀法違反の容疑だった。

普段は「最凶ヤクザ」などと酷評しているわりには、ずいぶんネタが古い。驚くしかなかったが、その後も私は身に覚えのない事件で再逮捕を繰り返されることになる。

元漁協組合長は山口組系の元ヤクザ

もっとも私の逮捕については以前から噂があり、あまり気にしてはいなかった。カッコつけるわけではないが、ヤクザたるもの座る(収監される)ことを嫌がったり、怖がったりしたらおしまいである。盃を受けた時、肝に銘じていたことの一つだ。

もちろん、身に覚えがなければ無実を主張するまでだが、逮捕自体は警察の決めることであり、避けようがない。逮捕の少し前に、確度が高いと言われる会員限定のネットニュースで《Xデー迫る! 福岡県警が工藤會壊滅に向けての頂上作戦開始、トップ逮捕へ》などと出たのを見て、これは逮捕もあるか…と思っていた程度である。

だが、それがいつなのか、何の件なのかは見当がつかなかった。思い当たるフシが多すぎるということはなく、普通なら事前に複数の関係者から「○○の件で捜査が進んでいます」とか、「□□の件で野村さんの名前も出ていますよ」などとタレコミがあるもので、今回はそれもなかった。

以前からではあるが、警察庁が「福岡県警では工藤會を潰せない」として、独自に内偵を進めているとも聞いていた。福岡県警は〝蚊帳の外〟であり、今にして思えば、これこそが「国策捜査」だった。

そして、私は何も知らないまま9月11日を迎えたのである。

裁判については弁護団にすべて任せてあるので、前回に引き続き工藤會と私について書いていこうと思う。

ただ、紫川事件の起こる13年前に、当時の工藤組幹部・草野高明親分の実弟を刺殺し、北九州で力道山の興行を打った山口組系のヤクザこそ、平成10年に射殺された元漁協組合長である。「善良なカタギを射殺した工藤會」のように報道されていることには違和感があるので、これだけは書いておきたい。

工藤會・野村悟総裁「獄中手記」⑤に続く

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