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『変な家』(飛鳥新社/1400円)〜本好きのリビドー/昇天の1冊

『変な家』(飛鳥新社/1400円)〜本好きのリビドー/昇天の1冊
『変な家』(飛鳥新社/1400円)

8月10日時点でAmazonのベストセラー1位にある書籍が『変な家』(飛鳥新社/1400円)。ゾクゾクと引き込まれる。

まず冒頭、家の一軒家の間取図がある。不動産屋の広告に掲載されているような、リビング、キッチン、部屋などの広さや位置が記された何の変哲もない、見慣れた図だ。だが、この間取りはどこか変という疑問からスタート。いったい誰が、どんな狙いを持ってこんな間取りの家を設計したのか? 謎を追跡していくと、驚がくの事実が! という内容。

ゾクゾクすると書いたのは、ちょっとホラーっぽいから。しかし、ホラーではない。むしろミステリーと言うべきか。

住人の自分でさえ知らない空間!?

ネタバレを避けるため詳細は言えないが、家には奇妙な空間がいくつかあり、それが部屋と浴室をつないでいる。さらに物置につながる空間も…。このスペースは果たして何を目的として造られたのか? 推理を働かせてページが進むという内容だ。

読み終わると、仮に自分が住む家が中古物件だったら、間取図を改めて注意深く見てみたい衝動に駆られるだろう。もしかしたら、住人の自分でさえ知らない空間があるのではないか、そんな疑念がわいてくるかもしれない。

著者はユーチューバー兼ライターの雨穴氏。YouTube動画では全身黒タイツに仮面というスタイルで登場し、素性・経歴は一切不明。だが、日常に潜む不可思議かつダークな話題を取り上げることでファンも多い。そんな魅力が詰まった1冊だ。

(小林明/編集プロダクション『ディラナダチ』代表)

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