社会

小沢一郎「最後のドブ板選挙」2021夏…与野党逆転へ全国行脚

小沢一郎
小沢一郎 (C)週刊実話Web

有効な新型コロナ感染対策を打てない菅内閣の支持率は急落、各マスコミの世論調査でも軒並み20%台の危険水域に突入した。

そんな中、存在感と期待を高めているのが、鳴りを潜めていた〝剛腕〟〝壊し屋〟の異名を取る小沢一郎氏(立憲民主党)だ。時々刻々と近づく総選挙を想定し、若手や新人候補予定者に「ドブ板選挙」を指南するため、連日、全国行脚で汗を流しているのだ。

その小沢氏には自民党内に魔手を伸ばしているというウワサも飛び交っており、自民党幹部からは「敵は立憲民主党の枝野幸男代表にあらず。政界デストロイヤー・小沢だ」と警戒する声が強まっている。

自民党ベテラン議員が小沢氏への警戒感を、こう打ち明ける。

「動向がサッパリ漏れ伝わってこなかった小沢氏だが、8月には『政治の師』と仰ぐかつての自民党のドン・金丸信元副総裁の墓参をした。4月にも盟友だった羽田孜元首相の墓参をしたと聞き、秋の総選挙は相当力が入っていると感じた。そこで情報を取ると、小沢氏は6月頃から総選挙に向けて動いていた。特に、地盤の弱い新人候補らへ指導していたのだから脅威だ」

小沢氏側近の話。

「実は、小沢氏は菅義偉氏が現在首相というのが、とても信じられないのです」

同側近によると、小沢氏が菅首相を〝宰相〟として認めない理由は概ねこうだ。

2008年9月、麻生太郎氏が首相に就任した直後、即衆院解散を模索した。ところが当時、選対副委員長だった菅首相は内閣支持率の伸び悩みやリーマン・ショックがあったため、解散総選挙に猛反対したという。結果、麻生氏は解散を断念。解散のタイミングを逸したツケは大きく、約1年後に行われた衆院選で自民党は歴史的な大敗。実質、小沢氏が率いていた民主党が政権を奪取し、鳩山由紀夫内閣が誕生した。

行く先々で唱える『小沢選挙7カ条』

「とにかく菅首相は政局に強いような評判もあるが、小沢氏からすると粘りはあるものの、まったく先読みができない平凡な政治家だというのです。小沢氏に言わせれば、菅首相は一度こう思い込むと、それに一直線で融通が利かない。今回も東京五輪開催とワクチン接種の2本立ての策を成功させた上で、9月総選挙に臨み勝利する。そして、自民党総裁選の無投票再選での長期政権を目論んでいた。だが、小沢氏にすれば政治はそんなワンパターンですべてが決まることなどあり得ないのです。だから菅首相を取り巻く環境に何か大きなフェイントがあれば、13年前と同じ過ちを繰り返す――そう感じ取ったのでしょう」(同)

菅首相の前に立ちはだかる「大きなフェイント」として、小沢氏は当初から新型コロナ対策に注目しており、その対処の甘さから失敗する可能性を見出していたという。

「理由は2つあった。1つは、ワクチン確保量が十分でないので若年層、職域接種で目詰まりする。2つ目は、重症患者が増えたときの対策ができていない点。中国のように、たくさんの重症患者を一気に受け入れる新規大病院を早い段階で設置すべきだったが、その対応がほぼゼロに等しい」(政界消息筋)

小沢氏の読み通り、菅首相の続投再選シナリオにコロナ変異株が襲い掛かる。8月13日には16都府県で過去最多の新規感染者が確認され、全国で2万人を突破。感染制御不能状態に陥っており、人心は菅政権から完全に離れつつある。

思惑が崩壊した菅首相の行動パターンを予測した上で、小沢氏は6月に『新人ドブ板選挙指導』に動き出していた。全国行脚は福岡、長崎、鹿児島、大阪、山梨…。行く先々で唱えるのは『小沢選挙7カ条』だ。

政権奪取のラストチャンス

「7つとは、①川上(山間)から川下(街)へ ②1日50カ所辻立ち ③ポスターを3000~5000枚貼る ④10人ほどのミニ集会開催 ⑤路地に入りやすいよう選挙カーは小型車にする――等々です。コロナで1対1、ミニ集会はなかなかできにくいが、とにかく『できることをスグやる』と指導する。例えば、マスクなど対策を万全にしての辻立ちなど、『小沢選挙7カ条』もコロナ版に多少改訂しています」(立憲民主党議員)

8月3日、小沢氏は大阪府寝屋川市で衆院大阪12区から立候補予定の宇都宮優子氏の事務所にいた。「徹底して毎日街頭に立つ。とにかく知名度を上げろ」などと檄を飛ばしていた。

「12年の第2次安倍政権から10年近く自民党政権が続くだけに、党内のゆがみも目立ち始めた。次回選挙の各種世論調査では、自民党が大きく議席を減らす予測だ。自民党単独では過半数に達しないが、自公でかろうじて過半数を維持、与野党が拮抗した場合が問題だ。その時、小沢一郎とかつて自民党に在籍し『選挙の神様』と言われ立民に移った中村喜四郎の2人が、どう仕掛けてくるか…」

と小沢氏の動向に神経を尖らせるのは自民党長老。

「自民党内にも反菅派はいる。特に国民に人気があり、読売新聞の最新調査でもポスト菅トップの石破茂は党内で完全に死に体だ。次の選挙で野党が自公とギリギリの議席数なら小沢と中村は自民党内に手を突っ込み、石破首相で連立の動きを模索するウワサもある。1993年に小沢が自民党を離党し、細川護熙内閣を誕生させたあの悪夢の再来だ。79歳の小沢は次を政権奪取のラストチャンスと見ている。それだけに空恐ろしい」(同)

壊し屋、最後の大戦。

あわせて読みたい