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JRA重賞『関屋記念』(GⅢ)映画評論家・秋本鉄次の“ざっくり”予想!

先週のエルムSは、切歯扼腕、嗚呼、残念無念、と唸って天を仰いで絶句した一戦であった。問題の直線、外から捲ったオメガレインボー、追い込み勢の中で脚イロが目立つロードブレス…これはひょっとして、とつかの間の夢を見た瞬間、内から差してきたのが、何と、文中にも「強いマリーンS組から〝敢えて消した〟」と記した4番人気スワーヴアラミスだもの。ガ~ン! 結局はマリーンSの1、2着がそのままここでも1、2着かあ、と悶絶した。

それにしても6年ぶりの重賞制覇、今年も勝ち星はわずかの、地味すぎる松田騎手にしてやられたなあ。彼の大駆けがなければ、オメガ、ロードの馬連で何と250倍超(当日朝の前売りオッズ。実際ワイドの⑪-⑬で5580円も付いた)だもの。レバ、タラを言っても詮無いのだが、馬券収支も一気にプラスに浮上したのにィ。しばしハズレ馬券を見つめてしまった。何度も言うけど、もう、逃がした魚はクジラよりデカい! せっかく〝映画馬券〟でも〝ロード〟の馬に注目したのに…「神よ、無情ですぞ」=by、映画『ポセイドン・アドベンチャー』(72年)のジーン・ハックマン!

と、死児の齢を数えても仕方がない。覆水は盆に還らない。気を取り直して、悲喜こもごもの函館に別れを告げよう。さて〝新天地〟としては小倉にも食指が動くが、ここは新潟の伝統の一戦、関屋記念に照準を合わせたい。中心は文句なしで3歳馬のソングラインだろう。何せ、春のNHKマイルで、勝ったシュネルマイスターに鼻差2着と惜しいところまで迫った逸材だし、私に馬連3690円の配当を与えてくれた馬だもの。おまけに今回は3歳牝馬の恩恵で、51キロで出られるのは何より心強いではないか。おそらく1番人気は必至だろうが、3歳牝馬の1番人気は2018年のプリモシーンが勝っているし、調教も抜群だそうで、堅軸と言えそう。おまけに〝夏は牝馬〟は競馬格言でもある。

穴のニオいは7枠にあり…

さて〝映画馬券〟は、まず、そのソングラインから『コーラスライン』(85年)を想起した。花形ダンサーを目指す若者たちの青春群像を描いたミュージカル・ドラマで、この当時人気絶頂だったマイケル・ダグラスが意地の悪い演出家兼振付師を熱演していた。映画題名に似ている、とこじつければアンドラステから語呂が紛らわしい(?)『アド・アストラ』(19年)も連想したりして。ブラッド・ピット主演で、地球外生命体の探索に出たまま消息を絶った父の謎に、その息子の宇宙飛行士が迫るというサスペンス・タッチのSF映画だった。

今回、ソングラインからアンドラステの〝映画馬券〟は本線、と言いたいところだが、このおそらく上位人気2頭でスンナリとも思えない。アンドラステの鞍上は岩田望で、前々走のマーメイドSで3番人気の4着だったが、前走中京記念では川田騎乗で1着…。確かに岩田望は若手の有望株だが、重賞での信頼度はいまいち。過去10年で1、2番人気決着がないのも少々不安材料だ。むしろ薄目に抜けてほしい。実はこのレース、同じ新潟のアイビスサマーダッシュか、と思うぐらい外の7、8枠が有利なので、枠順を注目したのだが、ソングラインは6枠⑪番、アンドラステは4枠⑧番とまずまず。8枠3頭は無視し、穴のニオいは7枠にあり、で2頭をチョイス。逃げ候補の⑭クリスティ、新潟走る⑮ミラアイトーンを。加えて勢いのある①グランデマーレ、マイル適性がありそうだし田辺に乗り替わりの⑥ロータスランド、前年の覇者⑫サトノアーサーがリピートで来ても驚かない。今やすっかり〝時の人〟の柴田善オジサンは? 世代的に応援したいところだが、今週はさすがにナシでしょ。騎乗馬のベストアクターもマイル向きとは思えないし。馬名は映画に関係ありそうだけど(笑い)。

軸は前記の通り、あくまでソングライン。⑪から買い目は…馬連&3連複で①⑥⑧⑫⑭⑮へ。馬連6点、3連複15点でどうだっ!

秋本鉄次
映画評論家。〝飲む・打つ・観る〟〝映画は女優で観る〟をモットーに、娯楽映画、中でも金髪女優の評論にかけては業界随一。著書に『パツキン一筋50年 パツキンとカラダを目当てに映画を見続けた男』(キネマ旬報社)など。

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