太平洋戦争中に起こった不思議な事件は、激戦地・フィリピンでも報告されている。
日本兵Aらが、命からがら逃げ込んだジャングルで、木の根や木の実から水をすすり、ヘビやトカゲを捕まえて食いつないでいたときの話である。
ある日、アメリカ軍との大規模な戦闘が起こり、日本軍の被害は甚大なものとなった。
かろうじて死を免れた日本兵たちは、仲間の遺体を見捨てるようにしてジャングルの奥へ引き返した。本来なら、遺体を手厚く弔い、遺品のひとつも本国へ持ち帰って、遺族の元へと届けたいところではあったが、そんな余裕もないほどに日本軍は追いつめられていたのである。
すると、アメリカ軍の手がのびていないジャングルの入り口に、ぽつんと倒れている遺体をAとその仲間たちが発見した。
「河野又兵衛」の遺体から発見
彼らは軍服についた名札から遺体の主を「河野又兵衛」と特定したのち、手を合わせてその死を悼み、胸ポケットから遺品として一冊のメモ帳を手に入れた。
遺品の届け先を知る目的もあり、そのメモ帳を開いて見たところ、最初のページには当日の日付に続き、「河野又兵衛は、アメリカ軍狙撃兵によって右こめかみから左後頭部に向けて銃弾が貫通し即死する」と書かれており、さらには「河野又兵衛の遺品は、Aが軍服のポケットから取り出し、指輪、家族の写真とともに持ち去る」と、事実と寸分の狂いもなく予言されていたのである。
おまけに、そのメモには続きがあり、Aが所属する小隊のうち、生き残って日本へ帰り着くのはAと後輩の2人きりで、他の4人は死亡すること、また、その最期についても克明に記されていた。
そして、該当する4人はメモの通りに死んでいったのだ。
ある者は眠っている間に毒ヘビに噛まれて死に、またある者は機銃掃射から逃げる途中で崖から落ちて死んだ。予言を忠実に守るように、みずから敵に突進して自爆した者もいた。
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