社会

創価学会と総選挙“裏”《後編》深刻なデジタル格差~ジャーナリスト山田直樹

創価学会内部のデジタル格差は、まさに今の社会の縮図のようだ。ここに微妙な影を落とすのが、若年層の投票行動だ。18歳以上に選挙権が付与されてからの投票率と支持政党を見ていくと、以下の点が分かる。

  • 特に都市部で18~20歳までの投票率が4割強程度で、20~30代で落ち込み、高齢者で高くなる傾向がずっと続いている。
  • 世代別政党支持者と支持政党データでは、自民党が若年層と高齢者で高く、公明党の方が平均的。そして、無党派層の多くは投票先として自民党を選ぶ。

「公明党の議席を維持するためには、創価学会が若年層、つまり、ミレニアル世代以降の無党派層得票率を上げるべき」

同分析は公明党関係者、創価学会選挙担当者の複数からも、この数年幾度となく聞かされてきたセリフである。個人後援会制度を創設するのは、個人面談方式の代替というより〝デジタル布教者〟育成にこそ主たる狙いがありそうだ。

そして目下、公明党にとって剣が峰に当たる大阪の都構想住民投票への選挙なみの戦いがピークを迎えている(※11月1日投票が行われ、既に反対という結果が出ている)。先の創価学会地域幹部は維新という「地域政党」なる表現をしたが、こと関西に限って言えば維新こそ国政の自民党に相当する。昨年の統一地方選挙においては、関西では維新の1人勝ちに終始した。大阪府知事選、大阪市長選、地方議員選、衆議院議員の補欠選挙すべてにおいて完勝だった。

都構想で一枚岩ではなかった学会

「中途半端なかたちで、首長選に相乗りしてしまったのが公明党です。形式上、共産党との〝共闘〟にもなってしまうのに、自民党に引きずられる形で反維新の市長候補を推薦してしまった。そもそも、維新の大阪都構想に対して、公明党は煮え切らなかった。最初は『住民投票までは賛成するが、維新案には反対だ』というスタンス。それが地方選挙で敗退するや、『都構想賛成』に豹変。要するに、関西の衆院小選挙区で公明党候補を勝たせるための妥協です。見返りは、維新がその選挙区で候補者を立てないこと。こういうブレを果たして支援者は、是とするんでしょうか」(在阪の大手紙デスク)

実際、11月1日の投票はどうするのか。大阪府在住の創価学会員10名ほどに、意見を聞いてみた。

「住民投票は、1つの政策として捉えれば維新か反維新かは関係ありません。思うところを投票してよいという地域組織もあれば、上から賛成せよとキッチリ枠を嵌められているところもある。創価学会票が1つでまとまるとは思えない」(大正区の壮年部)

「4票という僅差で負けた(大阪)市議選のことを考えれば、国政が大事だからここで賛成に回れというのは、衆院選で維新が候補を立てたら負けると言っているのも同然です。常勝関西に泥を塗ることだ。公明党が賛成に回っても、創価学会は違う。それを示そうと仲間と連絡し合っている」(淀川区の青年部)

つまり、常勝を誇る創価学会関西は、決して一枚岩になっていないのだ。

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