本好きのリビドー/昇天の1冊~『全47都道府県幸福度ランキング2020年版』(東洋経済新報社/税込3960円)

民間調査会社が発表した「都道府県魅力度ランキング」において、7年連続最下位だった茨城県が42位にランクアップし、代わって栃木県が最下位に落ちたというニュースが話題となった。

この一報を聞き、他にも県別順位があるのか気になって調べたところ、『全47都道府県幸福度ランキング2020年版』(東洋経済新報社/税込3960円)という1冊があった。前者は観光・グルメなどの「魅力度」、後者は県財政・生活・教育などを基準とした「幸福度」によって順位を決めている。

都道府県「魅力」と「幸福度」でこれだけ差が…

魅力度1位の北海道は、幸福度では36位と大きく順位を下げている。また、魅力度44位の福井県が幸福度では堂々の1位。茨城も魅力度42位だが幸福度14位、栃木はそれぞれ47位、25位と、いずれも大きく順位が異なっている。

県外の人から見た「魅力」と、県内の人が住んだうえで感じる「幸福度」と、尺度が違うのだから当然とはいえ、内外でこれだけ差異があらわになると、一体、ランキングとは何なのだ、と思ってしまう。

だが、本来は住んでいる人々の暮らしやすさ、充足感などが重視されるべきだろう。その点からいえば、幸福度ランキングのほうが目を引く。ちなみに幸福度1位の福井県は、県民の「仕事」「教育」の満足度が高い。国立大学のなかでも福井大学は就職率全国1位であり、女性労働人口も全国水準を上回っているそうだ。

ウイズ・コロナの時代、住みやすい県は、今後、さらに注目されていくだろう。

(小林明/編集プロダクション『ディラナダチ』代表)