厳密に言うと、「東京大震災」と「首都直下地震」は似て非なるもので、首都直下地震は、関東地方南部(神奈川県・東京都・千葉県・埼玉県・茨城県南部)で歴史的に繰り返すM7.0クラスの大地震を指す総称である。
一方、首都直下地震の1つではあるが、範囲を東京に絞ったものを一般には東京大震災と呼んでいる。
S教授があえて東京大震災と言ったのは、どういう理由なのか? しかもS教授は、東京大震災が今夏に起きると予測しているというのだ。
「関東大震災から100年近くが経過し、これから再び活動期に入るとの予測は、地震研究者たちの間では常識です。また、これはすでに他の研究者が唱えている説に近いのですが、平安時代まで遡って、869年に三陸沖で発生した貞観地震と、その9年後の878年に発生した相模・武蔵地震(現在の関東地方南部)の関係を現代に当てはめると、東日本大震災の9年後に、首都圏で地震が発生すると予想できます。しかし、2020年は起きなかったので、今年が危ないということになります。1年のズレは誤差が生じているのでしょう」
約1300年の統計で8月が最も多い
では、なぜ震源地が東京で、それも今夏なのか。
「実は、我が国の約1300年間の地震発生月を見ていくと、8月が最も多いのです。夏に地震が起きないというのは単なるイメージで、やはり8月が危険です。地震には、自然に起こるものと、そうではない人為的なものがあります。人為的地震の原因は、人間が地中から資源を採掘することで、地中を不安定にするからだと考えられています。私はこれに加えて、山や海の自然破壊も要因であると考えます。23区のほとんどは、数百年前まであった山や谷を破壊し、海を埋め立て、そこに建物を無理やり密集させた場所。その上、東京五輪を行うために土地開発や各種工事が急ピッチで進められたことも、事態を悪い方へと導いているのではないでしょうか」
大地震を引き起こすきっかけの1つに、まさか東京五輪があったとは――。
日本という地震大国に暮らす以上、未曽有の大地震は、いつどこで起きてもおかしくない。首都圏の人々は、まもなく起こるかもしれない巨大地震に、万全の備えをしておいたほうがいいだろう。
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