「今後も長期間にわたって東日本大震災の余震域で、規模の大きな地震が発生し、強い揺れや高い津波に見舞われる可能性がある」
2011年3月11日、東北地方を中心に甚大な被害をもたらした東日本大震災からちょうど10年後の2021年3月20日、宮城県沖でM6.9、最大震度5強の地震が発生した。冒頭の言葉は、本件に関する政府の地震調査委員会が臨時会合で発表した内容である。
2月13日にも、震度6強の地震が宮城県と福島県で観測されていた。これらはすべて東日本大震災の〝余震〟であるとされ、震災の影響が10年経っても続いていたことに、大きな衝撃と恐怖を感じた人も多いのではないだろうか。
東北から関東にわたる広い範囲を襲った東日本大震災では、2万2000人を超える死者、行方不明者が発生した。建物の被害は全壊が約1万6000戸、半壊が約2万6000戸。福島第一原子力発電所の廃炉は想定通り進まず、住民が住めない帰還困難区域は、あの日のまま時間が止まっている。
そんな遅々として進まない復興に、追い打ちをかけるようなタイミングで起きた10年目の余震。M9.0という世界最大級の東日本大震災に、今なお自然の脅威を感じざるを得ない状況が続いているのだ。
熊本地震が覆した“余震の常識”
ここで改めて冒頭の文言に注目してほしい。「余震域」という言葉は使用しているが、本震の後にやって来る小規模な地震の意味での「余震」という言葉は使っていない。
実は、2016年4月14日に発生した熊本県熊本地方を震源とする最大震度7(M6.5)の地震で、その約28時間後に、本震よりも大きい〝余震〟が発生。気象庁は1998年以来、震度5弱以上の大地震の後に余震の発生確率を発表してきたが、熊本地震がこれまでの〝余震の常識〟を覆したことから、以降は「余震」という言葉を使わないようにしたという。
つまり、この話は東日本大震災の〝余震〟が、本震を上回る規模で発生する可能性があることを示しているのだ。
某大学の地震研究所に勤務するS教授は、「大震災の影響を受け続けているのは、震源地一帯だけとは限らない」と断言する。
「大震災以降、震源地や関東圏の地殻に甚大なゆがみが蓄積されているのは間違いなく、とくに首都圏の地殻にストレスが集中しているのは、地震が頻発していることからも読み取れます。東日本大震災の〝余震〟として首都直下地震、それも東京大震災が発生する可能性は非常に高いです」
2021年夏に起こる!? 東京大震災②に続く
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