筋肉の不全断裂、すなわち肉離れを起こすと、筋肉内の血管も切れるので内出血します。そして、筋肉が断裂した部分が内出血で腫れます。頭にできるたんこぶも同じことです。血液は鉄を含むかなり重たい液体なので、最初はケガをした部分に溜まっていた血液も、重力の影響で徐々に下へ降りていきます。下腿の筋肉、つまり、ふくらはぎの下腿三頭筋で起きた肉離れは内出血の出血量が多いと、立っている時に血液が皮下を重力で移動していきます。皮膚の下にある皮下組織は組織があまり密でないので、血液が移動しやすいのです。血液が移動した結果、皮膚の薄い足首や足に内出血の青あざが見える場合があります。
血液をサラサラにする薬を飲んでいると…
肉離れをして、しばらく経ってから足首に内出血があると、「ひょっとしたら捻挫をしている?」と思うことがあります。肉離れと同時に足関節の捻挫を起こすことはたまにありますが、足関節を動かしても痛まない時は単に血液が降りているだけなので、そこまで心配する必要はありません。内出血は最初、血液の赤い色で、変色して青くなり、1~3週間で青みが鉄の色の黄色になって消えていきます。
心筋梗塞や脳梗塞の再発予防などで血液をサラサラにする薬を飲んでいると、肉離れの時に出血が止まりにくく、足がパンパンに腫れることがあります。あまりひどい時は、整形外科医か血液をサラサラにする薬を出してもらっている主治医に相談しましょう。
監修/井尻慎一郎先生
井尻整形外科院長。医学博士。著書・監修書に『痛いところから分かる 骨・関節・神経の逆引診断事典』(創元社)、『筋肉のからくり 動かし方を変えるだけでコリと激痛が消える!』(宝島社)などがあるほか、論文、講演、テレビ出演などで活躍中。井尻整形外科HPは下記。
https://ijiri.jp
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