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侍ジャパン稲葉代表監督の「五輪後」は…中日ドラゴンズ監督に招聘か

(C)週刊実話Web

東京オリンピックの野球競技の決勝戦(8月7日、横浜スタジアム)を前に、中日ドラゴンズが地元の愛知県出身で中京大中京高のOBでもある稲葉篤紀・侍ジャパン監督の招聘に舵を切った。

「金メダル獲得」を前提に、有力候補だった立浪和義、山本昌両氏を押し退け、次期監督に一本化! 獲得に乗り出したというのだ。

現在、中日を率いる与田剛監督は、今季が3年契約の最終年。中日の大島宇一郎オーナーは7月27日、名古屋市中区の中日新聞本社に与田監督を呼び、リーグ4位、借金10で終えた前半戦の報告を求めた。前半戦報告は、巨人や広島などでは恒例行事だが、中日では極めて異例。公式戦終了後のシーズン報告が慣例になっていた。

球団担当記者によれば、与田監督は「前半戦は点が取れず、期待に沿える戦いができなかったが、後半戦は戦力を立て直し、クライマックスシリーズ出場圏内(3位以内)を目指す」と報告したが、オーナーは「結果に満足していない」とクールな応対。今季で契約満了の球団方針を示すとともに、次期監督について意見交換を行ったという。

「ポスト与田監督」については、これまで待望論が根強い立浪和義氏を筆頭に、山本昌氏らが有力視されてきた。しかし与田監督が後任に推したのは、侍ジャパンを率いている稲葉氏だという。

「ドラゴンズファンの間で人気の高い立浪氏と山本氏では、どちらが監督に就いても贔屓の引き倒しとなり、巨人や阪神の域を出ないと。パ・リーグを凌駕するには、思い切った新血の注入を進言したそうです」(前出・担当記者)

中日は2004年から、それまで監督経験のなかったOBの落合博満氏を抜擢するという思い切った戦略で、それまでの星野仙一色を一掃。「オレ流」路線で個性的なチームに生まれ変わり、黄金時代を築いたのは記憶に新しい。

今、それができるのは、コロナ禍の逆風を乗り切り、侍ジャパンで東京五輪の頂点を目指して戦う稲葉氏しかいないと――。

新聞販売店サイドから地元出身監督を望む声

「与田監督も09年、13年のワールドベースボールクラシック(WBC)で投手コーチを務め、各球団のトップ選手が集結する代表チームの運営、選手起用の難しさを経験した。そのキャリアや人脈が、その後の野球人生に役立ったことなどを説明。大島オーナーは与田監督の再建案に賛同し、侍ジャパンの金メダル獲得を前提に、稲葉氏を次期監督に推す考えを示したそうだ」(スポーツ紙デスク)

追い風になっているのが、全国的な新聞部数の急速な減少だ。中部エリアでは圧倒的なシェアを誇る中日新聞も例外ではなく、読者の高齢化とともに定期購読者が減少。新聞販売店サイドから地元出身の監督を望む声が高まっている。

次期監督候補とされる立浪氏は大阪(PL学園)、山本氏は神奈川(日大藤沢)出身。ヤクルトや日本ハムでプレーした稲葉氏はドラゴンズOBではないものの、生粋の愛知出身で、中京大中京高、法政大学を経てプロ野球に辿り着いた。ご当地選手で、当然、知名度も抜群だ。

これまで歴代の中日監督の選定では、新聞店の要望がそのまま中日新聞社の意思決定に反映されてきた。その最たるものが、岐阜出身の故・高木守道氏の抜擢だ。星野、落合両大物監督の直後に二度にわたって監督に就任したが、いずれも愛知・岐阜の販売店が強くプッシュして誕生した経緯がある。

「新聞社にとって、販売店組織は圧力団体のような存在ですが、彼らにとってドラゴンズ人気は部数拡張の命綱なんです。ここ3年で立て続けに根尾昂内野手(岐阜県出身、大阪桐蔭)、石川昂弥内野手(愛知県出身、東邦)、高橋宏斗投手(愛知県出身、中京大中京)と、中部圏出身者をドラフト1位指名しているのも、新聞店の意向に沿った戦略です。この〝金の卵〟たちを東京五輪の金メダル監督に託し、商品価値を高める。稲葉氏擁立の狙いは、そこにあるのです」(中日新聞関係者)

イチロー「臨時コーチ」案

その意味では、愛知県出身のイチロー氏こそ理想の監督像かもしれない。しかし、このコロナ禍にあっては、監督に迎え入れるのは容易ではない。そこで次善の策として、イチロー氏と親交が深い稲葉氏に白羽の矢を立てた側面もあるという。

「稲葉氏は北名古屋市、イチロー氏は豊山町の出身で、この2つは隣町同士。小中学校時代から同じバッティングセンターに通った仲です。年は稲葉氏が1つ上だが、お互いリスペクトし合っており、稲葉ドラゴンズが誕生すればイチローは臨時コーチに駆けつける可能性もあります。それだけでも球団のイメージアップにつながり十分、元は取れるはず」(中日OBの野球解説者)

稲葉氏には東京五輪後、日本ハム監督就任の動きも囁かれてきたが、ここは小笠原道大ヘッド兼打撃コーチの昇格の可能性も消えていない。中日は早々に稲葉氏獲得に乗り出し、〝先約〟を取り付けた格好だ。

稲葉ドラゴンズが誕生すれば、ともに入閣確実なのが、中日OBの井端弘和氏。現侍ジャパンでは内野守備走塁コーチを務めており、稲葉監督の側近中の側近だ。その井端氏も中日の将来の監督候補の1人でもあり、現在の中日には〝アライバコンビ〟で二遊間を組んだ荒木雅博氏と、亜細亜大の先輩・阿波野秀幸氏がコーチを務めており、組閣もスムーズに運ぶ。

果たして「ドラゴンズ監督」を見据えた稲葉マジックが金メダルをもたらすか、決戦に大注目だ!

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