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大坂なおみ“最終ランナー猛批判”に乗っかるネットニュースの思惑

大坂なおみ 
(画像)lev radin / Shutterstock.com

テニスの大坂なおみに対する批判が日本中で高まっている――。東京五輪が白熱するさなか、ネット上には、こんな類いの記事が多く出回っている。

大坂は去る7月23日、東京五輪の開会式で、トーチを持ち聖火台の点火役で登場。「日本の顔」を世界にアピールした。その後、本番のテニスの方は3回戦で敗退。少々、残念な結果に終わったのは確かだが…。

「勝負は運もあるし、それを責めたりするものではないでしょう。それよりも、日本国籍を取得したとはいえ、最終の点火ランナーに選ぶ必要があったのか、という声が記者の間でも多く、これに〝納得しない〟連中が前のめりになってその声を集め、記事にしているという感じですね」(スポーツ紙記者)

開会式の最終聖火ランナーは、柔道男子60キロ級3大会連続金メダルの野村忠宏氏、レスリング女子3大会連続金メダルの吉田沙保里氏、プロ野球巨人終身名誉監督の長嶋茂雄氏、プロ野球ソフトバンク球団会長の王貞治氏、元メジャーリーガーの松井秀喜氏、医療従事者の方々、パラリンピアンで夏冬金メダルの土田和歌子氏、東日本大震災で被災した子供たちの代表6人、そして最後に大坂へとつながった。

「『なぜ、大坂?』という思いが、全国に多少なりとも渦巻いたのは事実でしょう。大坂は2019年に日本国籍を取得。今回の五輪は選手での出場でしたが、確かに最終点火ランナーとしての選考基準はよく分かりませんでした」(同・記者)

“仮病なのでは?”なんて書くところまで…

だからといって、〝彼女は日本人選手なのか〟の論調には首を傾げざるを得ない。

「復興五輪の象徴としてなら、宮城県出身の羽生結弦や、岩手県出身の大谷翔平だったら、日本中が〝納得感〟に覆われたかもしれませんね。大坂は『日本は母国』『大事な国』と言っていましたが、そこに噛みつくネット記事は本当に多い印象です。〝大坂は日本語を覚える気がない〟とか、〝母国と思っていないから日本に住んでない〟とか…。中には、大坂が告白した病気まで〝仮病なのでは?〟なんて書くところまで。ちょっと目に余りますね」(同)

大坂は、たとえ日本に住んでいなくとも、帰って来ればいつもニコニコで居心地がいいのかもしれない。病気がいい方向に向かうなら何よりだろうに…。

「前回の1964年の東京五輪で国立競技場の聖火台に火をともしたのは、広島への原爆投下の日(45年8月6日)に県内三次市で生まれた、当時19歳の早稲田大学陸上部の坂井義則さん。二度と原爆を人類に対して使用してはいけないというメッセージが世界中に発信されました。今回の大坂なおみも、きっとそんな深いメッセージが込められているに違いありませんよ」(同)

おそらく、この先、数十年は日本でオリンピックが行われることはないだろう。そういうことからも〝大坂なおみで良かった〟という声がいつか大勢を占める日が来ることを願わずにはいられない。

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