
初代タイガーマスクほどさまざまな伝説に彩られたレスラーはいない。
現在は佐山聡がその正体だったと誰もが知っているが、活躍していた当時は神秘のヴェールに包まれていた。
『証言 初代タイガーマスク40年目の真実』(宝島社/1760円)は、本人である佐山をはじめ髙田延彦、藤原喜明、グラン浜田、山崎一夫、新間寿ら、タイガー誕生前、誕生後、そして電撃引退に至る、それぞれの場面で関わった人々による証言集。これまでに出た「伝説」の類いとは違う圧倒的なリアル感をもって真実が語られる。
まず興味深いのが、誕生前のエピソード。格闘技志向の強い佐山が他流試合で臨んだマーク・コステロ戦。佐山が負けた試合だが、その模様を佐山自らが解説。
知られざる逸話の数々は読み応え十分
次にメキシコ武者修行時代。これも虎の仮面を被る前だ。若手レスラーは登竜門として海外遠征に出るが、「島流しでメキシコに送られてきたようだった」と語るのは、佐山がメキシコで世話になったグラン浜田。
誕生後は、タイガーマスクがじつは総合格闘技志向の強いレスラーであることに理解を示し、後にUWFで行動を共にする藤原・髙田が証言。その一方で「格闘技志向をまったく知らなかった」と語る過激な仕掛け人・新間。つまり、周囲から見たタイガー像がまったく異なっている。
そうした知られざる逸話の数々は読み応え十分だ。そして読後感は、やはり初代タイガーマスクとは「謎のレスラー」であったのだと思わざるを得ないのである。
(小林明/編集プロダクション『ディラナダチ』代表)
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