
東京都議会議員選挙は、小池百合子都知事が特別顧問を務める都民ファーストの会惨敗と予想されていたが、意外にも大健闘。第1党は自民に譲ったものの僅差で第2党につき、改めて小池知事の存在感が際立つ結果となった。
『ハダカの東京都庁』(文藝春秋/1540円)は都議選の1カ月前、元都庁幹部の澤章氏が執筆した都庁の内幕だ。もろちん小池知事も登場する。
「都知事の会見で指名されるのはお気に入りの記者ばかり」「執務室で最も熱心なのはワイドショーのチェック」は、知事が主役のコーナー。コロナ禍で頻繁に見るようになった定例会見が知事の都合のいいように開催されていることや、ワイドショーでお笑い芸人が小池批判したことに対してムキになってクレームをつけた態度には、こうした裏側があったのかと納得。
東京は大丈夫なのか?と不安に駆られる1冊
また粛清人事など恐怖政治の実態も。著者の澤氏自身も、『築地と豊洲「市場移転問題」という名のブラックボックスを開封する』(都政新報社)という小池都政の裏側をルポしたため知事の逆鱗に触れ、都の外郭団体役職の地位を追われた。
職員たちの実態を暴いた「家庭持ちの男女、管理職同士の不倫が横行」も見逃せない。「東京都庁の所有不動産は一等地ばかり」は、だったらさっさと売却してコロナ対策の財源に充てろとツッコミたくなる。
都庁と都議会は小池知事が変わらず支配しそうで、五輪とコロナで疲弊した東京の復興は大丈夫なのか? と、不安に駆られる1冊。
(小林明/編集プロダクション『ディラナダチ』代表)
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