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仰天!ヤクザの夏休み①“登校日”は亡くなった先代や組員らの墓参り

イラスト/ホセ・フランキー (C)週刊実話 無断転載禁止
イラスト/ホセ・フランキー (C)週刊実話 無断転載禁止

海の家の利権争いやSNS絡みのBBQの豪華さの張り合い、ビーチのビッチを奪い合ってのリアル抗争など、裏社会では、この季節に年間で最もトラブルが集中するという。あまり知られていないが、ヤクザにも「夏休み」が存在する。それも、期間は8月丸ごと。組織によっては7月もほぼ休みとなるロングバケーションなのだから驚きである。

興味深い〝ヤクザの夏休み事情〟を語ってくれたのは、現役幹部の成宮寛行さん(仮名・52歳)だ。

「もちろん事務所当番もあれば会費(上納金)も通常通りなので、組としては機能しているのですが、この期間は我々の業界的に、盃や事務所開きなどの義理事を控えるのが暗黙の了解。対外的なヤクザの務めは格段に減りますね。ところが、逆に親分衆たちはまったく気が休まる暇がない。わざわざこうした風習を生んで、他組織との接触を減らしているにもかかわらず、年間を通して特にトラブルが集中するのがこの時期なんです」

その言葉を象徴するように、彼の組では近年、親分からの通達が組員一同に回されているという。内容は《むやみに盛り場に近づくのは控え、抗争の火種になるような揉めごとは避けるように》といったもの。

これではまるで、小学生に配られる『夏休みの過ごし方』の小冊子やプリントのようだが、それだけトラブルが起こりやすいというのだ。

担当マル暴の“事務所訪問”も

組の責任者たる成宮さんは、組員から「夏休み計画表」と呼べるものを提出させ、それぞれの行動予定を把握している。組員全員が同時期に縄張り内から離れてしまうと、緊急事態の際に対応できなくなるため、ある程度の行動を管理する必要があるわけだ。

「夏休み中の〝登校日〟というわけではないのですが、うちの場合は先代や亡くなった組員らの墓参りもありますし、親分の邸宅に組員全員で挨拶にうかがう習慣もある。組内の行事は逆に、この時期は増えますね。一番大事なのは、地元の夏祭りの際の〝地回り〟です。隣の地域の悪ガキ同士が顔を合わせて、集団で大暴れするので、僕らでないと止められませんから。地元のカタギ衆に感謝される、現代ヤクザにとっては滅多にない機会ですよ(笑)」

本来、彼らは複数人で繁華街を歩いただけで威圧行為となるが、夏祭りではおとがめなし。地元警察も、このときばかりはヤクザの力を借りたいようだ。

「逆に、近年なくなったイベントといえば、担当マル暴(刑事)の事務所訪問ですかね。この時期に必ずやってきては、拳銃何丁欲しいだ、誰か組員を出頭させてくれだの〝秋の(暴力団取り締まり)月間〟を前に、親分と相談してましたよ。組員の立場からすれば〝(出頭させられるのは)俺かもしれない〟と、気が気でなかったですからね(笑)」

夏休み前に小学校で受けた内容とはずいぶん違うが、彼らはこれを〝防犯教室〟と呼んでいたらしい。

【ヤクザの夏休み②に続く(#②を読む)】

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