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蝶野正洋『黒の履歴書』~Vチューバーと俺のファン層は同じ

蝶野正洋『黒の履歴書』~Vチューバーと俺のファン層は同じ 
蝶野正洋『黒の履歴書』 (C)週刊実話Web

チャンネル登録者数を合わせると2300万人を超える有名ユーチューバーたちが、緊急事態宣言下に30人以上も集まって、パーティーを開いたことが物議を醸している。

ユーチューバーたちは反省して、それぞれ自分のチャンネルで謝罪動画を流したりしているけど、今回の件に対して怒っているのは、たぶんYouTubeなんて見ていない人たち。

だから、自分のファンに向けていくら頭を下げても世間には届かないし、どうにもケジメがつかないから、いつまでも問題が燻ってしまうのかもしれないね。

もともとユーチューバーは世間なんて関係なく、自分の好きなことを動画で表現して、視聴者を増やして大金を稼いできた。だからもともと社会的な意識が低いのかもしれないけど、さすがに影響力も大きくなっているから、ある程度はキチっとしなくちゃいけない時期に差し掛かっているんだと思う。

そうやってユーチューバーたちが集まると、チャンネル登録者が多い順に偉いというヒエラルキーがあるらしい。普通は年功序列というか、古くからやっている人を立てるのが慣例だ。でも、YouTube界では、新参ユーチューバーでも登録者数100万人を突破すれば、業界の先輩方よりもデカい顔ができる。

プロレス界も少し似ていて、道場生の頃は年下だろうが、1日でも先に入門していれば先輩という意識だ。でも、デビューしてからは、たとえ後輩だろうが、メインイベンターのほうが格は上になる。人気があって実際にチケットを売っている選手が偉いという、ある意味で実力社会ということだ。そういう意味では、俺もYouTubeをやっているけど、この世界じゃまだまだグリーンボーイ。もし俺がユーチューバーが集まるパーティーに参加したら、トップどころに酒を注いでまわる立場になるな。

俺の生配信も意外と盛り上がった

最近、ネット動画の世界にはV(ブイ)チューバーという存在が人気を集めている。これは、CGやアニメのキャラクターを使って動画投稿を行うユーチューバーのことだ。

収録済みの動画を投稿するVチューバーもいるけど、最近はライブと呼ばれる生配信が盛り上がっている。ライブは投げ銭システムが導入されていて、ファンは動画を見ながらVチューバーにお金を送ることができる。先日、あるVチューバーの配信では、2時間で1000万円を超える金額が集まったそうだ。Vチューバーもすごいが、それだけ多くの金を投げる視聴者がたくさん存在するということに驚くよ。

実は、俺も何度かライブ配信をやったことがある。ライブをやっているのはアイドルやミュージシャンばかりだったから、俺の生配信を見て、しかも投げ銭してくれるような視聴者なんてほとんどいないだろうと思っていたけど、意外と反応があって盛り上がった。

俺のファン層は40~50代の男性。そう考えるとVチューバーにハマっているような視聴者も、このあたりの世代が多いんだろうね。

このご時世でキャバクラや風俗に行かず、家でお気に入りの配信者に投げ銭するという新たな楽しみを見つけたのかもしれないが、一番もうけているのは間に入っている業者というのはいつの時代も変わらない。

蝶野正洋
1963年シアトル生まれ。1984年に新日本プロレスに入団。トップレスラーとして活躍し、2010年に退団。現在はリング以外にもテレビ、イベントなど、多方面で活躍。『ガキの使い大晦日スペシャル』では欠かせない存在。

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