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JRA重賞『函館記念』(GⅢ)映画評論家・秋本鉄次の“ざっくり”予想!

JRA重賞『函館記念』(GⅢ)映画評論家・秋本鉄次の“ざっくり”予想! 
(C)JRA

「もうガミでもいいから当たって!」の切実な祈りも虚しく、またも負けたか秋本鉄次である。

マイナス街道をトボトボと歩く気分を噛みしめております。デムーロのロザムールを、唯一牝馬で逃げ馬というチャームポイントがあるのに無視した時点でアウトでした。軸にした福島は鬼のヴァンケドミンゴ、一昨年2着、昨年1着のトーラスジェミニはともに二桁着順ではお話にならない。

ここらで一発ブチかまさないと、軽くヤバい。というわけで今週のチョイスは、小倉で行われる中京記念というのもピンと来ないので、函館記念を。1、2番人気合わせてこの10年で馬券になったのが1回ずつという荒れる重賞で有名なレースだし、大逆転を狙いたい。最近GⅠ以外の重賞レースでは1番人気絶不調の傾向があるだけに、今年のGⅠフェブラリーSの覇者で格なら一枚も二枚も上のカフェファラオを蹴飛ばす勇気を貰える。まずダート路線から初めて芝重賞を狙う点。調教などで、むしろ芝向き、とも言われているが、それで本番で凡走した馬はいくらでもいたし、そもそも、じゃあ何で4歳夏の今まで走らせなかったの? という素朴な疑問が湧く。さらに極量とも思われる58.5キロを背負うのも不安だ。GⅠ馬だから妥当な斤量なのだが、それを承知で、YOUは何しに函館記念へ? である。もちろん、鞍上は引き続きルメールだし、あっさり勝って「芝・ダート二刀流」達成されたなら、ボクは〝オオタニサ~ン!〟と叫んでカブトを脱ぐが…。

そんなカフェファラオ無視馬券の本命は⑧トーセンスーリアにした。洋芝適性もありそうだし、鉄砲駆けも利くし、鞍上も好調横山兄弟の横山和だしね。トーセンの馬は注目選挙の頃に激走する、とか以前は言われたものだ。トーセン(当選)からのこじつけだろう。まあ都議選も終わったし、IR(統合型リゾート施設)誘致是か否か、が争点の横浜市長選は来月だし、その谷間に咲いてトーセンスーリアにはぜひ函館記念に〝当選〟してもらいたいものである。

函館好きの故・森田芳光監督に思いを馳せて

ここからの相手に、昨年覇者の⑫アドマイヤジャスタ、巴賞勝ちの⑨サトノエルドール、前走重賞組で54キロのハンデが好印象の⑪ディアマンミノル、昨年2着の⑦ドゥオーモ、鉄砲利くし、池添鞍上だし侮れない⑮バイオスパーク、巴賞1番人気凡走から逆襲を期待して③ワールドウインズへ。

〝映画馬券〟は、馬名では、う~む、適当なのが思いつかない。カフェ〝ファラオ〟は以前やったし、そもそも今回買わない馬だし。そこで重賞名の〝函館〟を取り上げよう。函館好き、競馬好きの映画監督としては、今年没後10年にあたる森田芳光監督が他の追従を許さないだろう。作品の舞台としては『ときめきに死す』(84年)、『キッチン』(89年)、『海猫』(04年)、『わたし出すわ』(09年)とあるし、「函館の街も、函館競馬場も大好きだね」と生前言っていたっけ。

監督とは、競馬はもとよりギャンブル全般好き、スワローズ好き、派手なおネーちゃん好きなどの共通項で話が合ったものだ。監督は競馬の本をいくつか出しているし、パチンコもかつてサンスポにコラムを持っていたほどのマニア。馬主としても(共同だが)、89年ダービー2着馬リアルバースデーのオーナーでもあった。勝ったウイニングチケットさえいなければ…というところだろうが、監督はそれでも嬉しくてリアルバースデーの縫いぐるみまで作って、ボクも頂いて、今もわが部屋に飾ってある。そんな森田監督作品の追悼放映が衛星放送の東映チャンネルで9、10月にあるので、ぜひご覧下さい。その特集の企画で、森田映画のプロデューサーであり、奥様でもある三沢和子氏にもインタビューした(秋本はちゃんと本業もやってますよ)。彼女も大変な競馬好きで、雑談で〝馬友〟として久々に競馬談義に花が咲いた。コロナ禍だけに、共通の趣味の知り合いと話す喜びは久々で、何物にも代えがたいとあらためて痛感した次第だ。

そんな森田監督と縁が深い函館の重賞をあらためて買い目にすると、⑧から③⑦⑨⑪⑫⑮へ馬連&3連複で。トーセンが1、2番人気にならないことを密かに願いつつ…。

秋本鉄次
映画評論家。〝飲む・打つ・観る〟〝映画は女優で観る〟をモットーに、娯楽映画、中でも金髪女優の評論にかけては業界随一。著書に『パツキン一筋50年 パツキンとカラダを目当てに映画を見続けた男』(キネマ旬報社)など。

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